【適応障害㉒】40代男性

プロフィール

  • 治療期間:【急性期】X年/8月~X年/10月の49日間
  • 主訴:人の言っていることが理解しづらい、話がまとまりづらい、文章を理解しづらい
  • TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
  • TMS治療プロトコール:通常iTBS(600発/回)を30回

これまでの経過

20年近くアメリカで生活されていた患者様です。アメリカ在住時に精神科通院歴があり、当時はADHDの診断を受けていました。

2020年に帰国され、2022年7月にコロナウイルス感染症に罹患。

その後、認知機能低下を伴う抑うつ状態が増悪したため、当院でのTMS治療を希望されました。

アメリカから帰国後、服薬はございませんでした。

TMS治療経過

適応障害㉒の心理検査の結果をご紹介します

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査

抑うつ状態を改善するため、通常iTBS(600発/回)を30回行いました。

TMS10回終了時は「考えがまとまらない感じ、文字を読んでも頭に入らない感覚は少しよくなった」とお話され、仕事も徐々にできるようになっているようでした。ご気分について「波はあるんですけど、平均値が上がってきた気がします」とも口にされ、イライラ感や不眠の副作用もなく経過していました。

TMS20回終了時は「調子が悪い時にもそこそこパフォーマンスが出せる」とのお話がございました。調子が悪くなることが減り、仕事も何とかできているご様子でした。

TMS30回終了時は「英語の動画をみたときも分かるようになってきた」とお言葉をいただき、「やってよかったです」と笑顔でお話もされていました。落ち込みも強く出ることはなく、集中力の低下や不安感も低減。ダイエットやウォーキングにも取り組むことができるようになりました。

心理検査上でも症状の改善が認められ、中でも抑うつ状態の項目、意欲・思考や行動に関する項目で大幅な点数の変化が見られました。

当院でのTMS治療は終了し、再発時に治療再開を検討することとなりました。

症例のまとめ

週4~5回のペースで通院され、30回の治療を終えられました。磁気刺激によるお痛み等に慣れるまでに時間を要したものの、治療10回の時点から症状は改善傾向が見られるようになりました。

その変化を体感されたことでより前向きに治療へ臨まれるようになり、ペースを崩さず通院を続けていただくことができました。

刺激強度は治療当初から増強せず経過しましたが、30回の治療終了後には主訴の改善も認められました。

通常iTBS、かつ最低限の刺激強度という条件下の治療でも、施術頻度を守ることで治療効果が得られることを体感できた症例となりました。

【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2023年1月26日

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