【うつ病93】20代男性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年/2月~X年/3月の20日間
- 主訴:憂鬱になる、気力が起きない、眠れない。
- TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
- TMS治療プロトコール:倍量iTBS(1,200発/回) とaTBSの組み合わせで 30回
これまでの経過
精神科は当院が初めての患者様です。
家族内葛藤、仕事の理想と現実のギャップ、仕事の負担が大きいことで今年の1月から気分の落ち込みが激しくなりました。
短期集中治療を希望され、薬物療法ではなく当院でのTMS治療を希望されました。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
抑うつ状態を改善するため、倍量iTBS(1,200発/回) とaTBSの組み合わせで 30回行いました。
TMS10回終了時は、「気分の変化はまだ波がある。家族と話してみた。」と家族と話すという第一歩を踏み出せました。
TMS20回終了時には、「まだ波はあるが、調子のいい日が出てきた。趣味である銭湯に行くようにしている。睡眠、食事もとれている。」と治療前は趣味を行う気力がありませんでしたが、20回目にして意欲が出てきました。
TMS30回終了時は、「完全ではないが前よりも良くなっていると思う。」と治療後に笑顔でお話しされました。完全ではありませんが、主訴を改善できました。
症例のまとめ
症状は改善していますが、少し薬物療法を行うことを提案しました。
ですが、薬はなるべく飲みたくないということで、2週間後の様子をみて少量薬を使うか検討することになりました。
休職中という決められた期間の中で、ほぼ毎日通い20日で治療を終えました。
初めは趣味も行えないほど、意欲は低下しておりました。
ですが治療20回目終了後から、意欲が戻ってきて趣味を行うこともできました。
まだ、完全寛解ではないため薬物療法やTMS治療の継続を検討をしていますが、主訴をほぼ改善できた症例です。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2022年12月23日
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