慢性疼痛に効果が期待できる磁気末梢刺激とは?
慢性疼痛に対する磁気末梢神経刺激(mPNS)が2023年8月25日にFDA*で承認されました。
日本ではまだ正式な承認に至っていませんが、慢性疼痛で悩まれている患者さんにとって新たな治療選択肢として期待されています。
FDA*(Food and Drug Administration):アメリカ食品医薬品局の略称で、食品や医薬品、化粧品、医療機器などの安全性や有効性を確保するアメリカの政府機関です。日本の厚生労働省に似た役割を担っています。
対象疾患としては下記の通りで、当院ではこちらのプロトコルを新たに導入しております。
こちらの治療は痛みのある部位に直接磁気を当てますが、頭部に磁気を当てる治療との併用も可能です。
当院(神奈川TMSルーム)では荏原病院リハビリテーション科の尾花正義先生にお越しいただき、診察していただいております。
また痛みは苦しみが深いため、うつ症状を合併している場合には、うつ病に対するTMSも治療選択肢として効果が期待できます。その場合は精神科医の診察も可能です。
TMS治療にご興味お持ちの方は、東京横浜TMSクリニックにご相談ください。
※慢性疼痛に関するTMSは神奈川TMSルームでのみ実施可能です。
論文のご紹介
Magnetic Peripheral Nerve Stimulation (mPNS) for Chronic Pain
慢性疼痛に対する磁気末梢神経刺激(mPNS)

英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。
こちらは慢性または難治性の神経障害性疼痛に対する末梢神経磁気刺激(mPNS)の効果を評価した研究です。
24名の患者を対象に、3ヵ月間の治療を行った結果、mPNSは1ヵ月後に疼痛を有意に軽減し、その効果は3ヵ月まで続きました。患者の約2/3が有効な反応を示し、87%の疼痛軽減が見られました。さらに、58.3%の患者でオピオイドの減量が達成されました。
mPNSは侵襲的な技術や埋め込み装置なしで、従来の治療法と同様に有望な治療法と考えられます。
監修者紹介
尾花 正義
東京都立荏原病院リハビリテーション科部長/東京大学医学部附属病院リハビリテーション科非常勤講師/当院顧問
日本リハビリテーション医学会専門医・指導医/難病医療費助成制度における指定医(リハビリテーション科)/身体障害者指定医