【ADHD⑫】30代男性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年/6月の25日間
- 主訴:朝起きられない、憂鬱になる、だるい
- TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
- TMS治療プロトコール:倍量iTBS(1,200発/回) を30回
これまでの経過
他院精神科に通院中の患者様で、ADHDと診断されています。
5年ほど前から抑うつ状態を繰り返しており、症状が遷延しているため当院でのTMS治療を希望されました。
デパス(抗不安薬)、サイレース(睡眠導入剤)、ベルソムラ(睡眠導入剤)、トリンテリックス(抗うつ薬)、レバミピド(胃炎・胃潰瘍治療剤)、ナウゼリン(嘔気止め)、コンサータ(中枢神経刺激剤)を服用されています。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
抑うつ状態を改善するため、倍量iTBS(1,200発/回)を30回行いました。
TMS10終了時点では「ちょっと上がってきた」とお話があり、頭痛等の副作用もなく経過していました。
TMS20回終了時点には「睡眠がとれるようになった。食欲も出てきた」と生活上での変化も見られるようになりました。
TMS30回終了時は睡眠等だけでなく趣味も楽しめるようになり、「やってよかったです」とのお言葉をいただきました。心理検査上でも大幅な症状の改善が認められました。
TMS治療は終了し、他院での薬物療法を継続することになりました。
症例のまとめ
週4日、1日2回の治療に臨んでいただき、30回の治療を終えられました。
治療初期の段階からしっかりと通院の習慣を作っていただいたことで、効果の体感もスムーズに得られていた印象です。
また、服用する薬剤が比較的多いことから効果の減弱が懸念されましたが、集中的な治療により十分な効果が表れたようでした。
薬物療法とあわせて、TMS治療が有効な治療選択肢と実感させられた症例となりました。
【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(総合職)も随時募集しています。
また、当法人ではTMS診療の立ち上げ支援を行っており、参画医療機関には医療機器を協賛価格でご紹介が可能です。
ご興味ある医療者の見学を随時受け付けておりますので、気軽にお声かけください。
取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2022年12月17日
関連記事
【FDA承認のプロトコル】慢性疼痛に対する磁気末梢刺激の効果
慢性疼痛とTMS治療に関しては下記をご参照ください 慢性疼痛(線維筋痛症)とTMS治療 慢性疼痛に効果が期待できる磁気末梢刺激とは? 慢性疼痛に対する磁気末梢神経刺激(mPNS)が2023年8月25日にFDA*で承認され… 続きを読む 【FDA承認のプロトコル】慢性疼痛に対する磁気末梢刺激の効果
投稿日:
人気記事
![](https://www.tokyo-yokohama-tms-cl.jp/wp-content/uploads/2021/08/03a21743260477767977a2c9f4c5edbd.png)
子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
「長い子育てを終えて、やっとひとりの時間ができる」 「子育て中はできなかったことを、たくさん楽しもう!」 そんな風に、子育てを終えた解放感を味わう方もいるでしょう。ですがその反面、強い喪失感や虚無感に苦しむ方も存在します… 続きを読む 子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
投稿日: