レストレスレッグス症候群とは?
レストレスレッグス症候群(restless legs syndrome:RLS)は、睡眠中や安静時に、主に脚の不快な感覚が生じ脚を動かしたいという強い衝動がみられる病気です。
やや女性に多く、妊娠期にみられやすいです。むずむず脚症候群と呼ばれることもあります。
レストレスレッグス症候群の原因としては、脳内でのドパミンの働きが低下するという機序が推測されています。
最も特徴的な症状は、脚の不快感、それに伴う「脚を動かしたい」という強い欲求です。
患者さんにより不快感の感じ方は様々です(むずむずする、虫が這う、痛い、灼けるように熱い、かゆい、だるい、しびれる、くすぐったい、硬直する、むくむなど)。
また、人によっては同じような症状が手や背中に生じることもあります。
レストレスレッグス症候群の診断
国際RLS研究グループの診断基準5項目を満たす場合、RLSと診断します。
- 脚を動かしたいという強い欲求があり、不快な脚の異常感覚に付随して生じる
- 脚を動かしたいという強い欲求や異常感覚が、静かに横になったり座ったりしている状態で始まる、または増悪する
- 脚を動かしたいという強い欲求や異常感覚が、歩いたり脚を伸ばしたりといった運動を続ける間、部分的または完全に改善する
- 脚を動かしたいという強い欲求や異常感覚が、夕方・夜間にのみ起こる、または夕方・夜間にのみ増強する
- 上記の特徴は、他の疾患や行動状態の主要な症状として説明できない(筋肉痛、静脈うっ滞、下腿浮腫、関節炎、こむら返り、姿勢による不快感など)
レストレスレッグス症候群の診断自体に必要な検査は必要ありませんが、何らかの基礎疾患に伴う可能性がないかどうかを問診、診察と検査で確認します。
具体的には、鉄欠乏性貧血、妊娠、腎不全、心不全、関節リウマチ、パーキンソン病、末梢神経障害、脊髄障害、ビタミン欠乏症などです。
レストレスレッグス症候群の基本的な治療法
まずは以下のように薬を用いない治療を行います。
効果に乏しければ薬物治療を考慮します。
- 日中の適度な運動、入眠前の入浴、脚のマッサージによる睡眠の質の改善
- カフェイン、アルコール、タバコを控える
- 症状を悪くするような薬を減量・中止する(抗ヒスタミン薬、抗うつ薬、抗精神病薬など)
血液検査で鉄欠乏があれば、鉄剤を開始します。
胃切除術後や萎縮性胃炎などのため、口からの鉄吸収が難しい場合には、点滴静注による鉄の補充を行います。
また基礎疾患があれば、その治療も行います。
レストレスレッグス症候群に対する薬物治療では、ドパミン作動薬が選択されます。
- ビ・シフロール(一般名:プラミペキソール)
- ニュープロ(一般名:ロチゴチン)
十分に効果が得られない場合は、
- リボトリール/ランドセン(一般名:クロナゼパム)
- レグナイト(一般名:ガバペンチン)
といったお薬が使われます。
治療目標は症状の消失ではなく、過度に気にならない程度に落ち着かせることです。