もっともスタンダードなTMS治療プロトコル

rTMSとは、Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation(反復経頭蓋磁気刺激法)の略で、一般的にTMSと呼ばれる治療はrTMSのことを指します。
TMSデバイスの手の部分に当たる8の字型コイルをあらかじめ特定した頭部の位置にあてがい、一定の間隔で反復的な磁気刺激を脳へと送り込み、それを電気エネルギーに変えて脳をピンポイントで刺激する方法になります。
一定の治療時間は要しますが、興奮と抑制の両方が可能なスタンダードなTMS治療です。
rTMS治療の特徴

こちらの図の「従来の方法」が、rTMSになります。こちらの図では、高頻度刺激になっています。
一般的なうつ病に対する高頻度rTMS治療の場合、4秒間に刺激を40発(10Hz)送ります。
各刺激間の間隔(休憩)は26秒で、合計3000発の刺激を行います。
治療時間は、おおよそ37.5分間ほどとなります。
うつ病に対する低頻度rTMS治療の場合、1回/秒(1Hz)の刺激を、インターバルなしに送ります。
20分~30分続けて行い、1200~1800発の刺激を行います。
効果を安定させるための一般的な目安として、30セッションと言われていますので、週5回ペースなら6週間、週3回ペースの場合は10週間を要することになります。
(治療と治療の間隔を開けすぎると効果が減少するため、なるべく集中的な通院をお勧めします。)
他の治療法との違い

TMS治療の中では最も歴史の長い伝統的な治療法ですので、他の新しいTMS治療プロトコルに比べると、これまでに治療を受けてこられた方の人数が圧倒的に多いです。
研究エビデンスも豊富に集積されており、
効果や副作用などの検証が最も確立されている治療法といえるでしょう。
刺激頻度を低くすることで神経の働きを抑制することができますが、現状ではうつ病に対する抑制目的でのTMS治療では、低頻度刺激(1Hz)によるrTMS治療のみ効果が実証されています。
リハビリ領域でのrTMS療法
リハビリ領域では、大きく
「疼痛」と「麻痺」の治療法としてrTMS療法が行われています。
疼痛に対しては、
反対側の一次運動野(M1)に対する高頻度rTMS療法を行うことで、疼痛側での脳の働きが抑制されることで治療効果が発揮されると考えられています。
麻痺に対しては、
反対側の運動野に対する低頻度rTMS療法を行うことで、麻痺側の脳の働きが高まることでリハビリ効果が促進されると考えられています。
このようにリハビリ領域においては、
脳が左右でバランスをとる特性(半休間抑制)をうまく利用して、治療効果を期待していきます。
rTMSの症例と論文
rTMS治療は、当院では低頻度刺激目的で行う場合が大部分になります。
実際の症例や論文につきましては、以下を参照ください。
rTMSの症例
rTMSの論文