iTBSとは?
3分程度で従来のrTMSと同等以上の効果が期待できる治療メソッド
iTBSとは、Intermittent Theta Burst Stimulation(間欠的シーターバースト刺激法)の略で、rTMSと同様に8の字コイルを用いる治療法になります。
rTMSが10Hz(1秒間に10回)の頻度で規則正しく刺激するのに対して、iTBSでは50Hz(1秒間に50回)の超高頻度刺激を不規則に3回行うことで、より高い効果が期待できて、治療時間をぐっと凝縮することができます。
iTBSは興奮(脳の活性化)を目的としたTMS治療になります。
iTBS治療の特徴
一般にrTMSが10Hzの高頻度刺激を規則的に加えていく(ダ・ダ・ダ・ダ・)のに対し、iTBSでは50Hzという超高頻度刺激を不規則に(ダダダ・・ダダダ・・ダダダ・・)5Hz間隔で2秒与えていきます。
各刺激のインターバル(休憩)は8秒とり、3分20秒で600発の刺激で1回のセッションが完了します。
THREE-Dという大規模な研究により、37.5分のrTMSと同程度に効果的であることが確認されています。
他の治療法との違い
従来のrTMSに比べ、とにかく一回のセッションが短時間で済むことと、それでいて同レベル以上の効果と持続性がわかっています。
時間に追われて忙しい現代人にとって、このrTMSの進化版であるiTBSは無理なく受けることができる優れた治療法といえるでしょう。
また治療時間が約90%と大幅に短縮されたことで、リーズナブルにTMS治療を提供できるようになりました。
iTBSと高頻度rTMSは効果が同じ?
シーターバースト治療法は、脳のシータ・ガンマカップリングという現象をもとに考えられた刺激法です。
海馬では、シータ波(4~8Hz)とガンマ波(26~70Hz)という2つの異なる周波数の脳波が関連性をもって活動(カップリング)することで、学習や記憶といった認知に関係していると考えられています。
ラットに迷路課題といった認知に関わる課題を与えると、ガンマ波の活動が高まり、シータ波とガンマ波のカップリングが高まります。
それでは、「外からこのリズムの刺激をいれれば認知機能に良い効果を与えられるのではないか」、ということから考えられたのがシーターバースト刺激法です。
このため50Hzのγ波を3連発、5Hzのリズムで同調させる刺激方法として、シーターバースト刺激法が開発されました。
このため皮質の興奮させるプロトコールという点では高頻度rTMSもTBSも同様ですが、メカニズムは異なる可能性があります。
うつでは同等の効果が報告されていますが、TBSの方が認知機能の改善効果が高い可能性もあります。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年3月11日
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