【ADHD⑥】20代男性
プロフィール
- 治療期間:X年6月~X年8月の58日間
- 主訴:憂鬱、絶望感、睡眠障害
- TMS治療の目的:ADHDによる二次性抑うつ状態の改善
- TMS治療プロトコール:倍量iTBS(1,200発/回) 30回
これまでの経過
他院通院中の方で、過去に抗うつ薬を中心とした薬物療法を行うも奏功しませんでした。
ADHDは治療薬で症状が軽快しましたが、抑うつ状態が消長しているため当院にてTMS治療を希望されました。
X年頃デプロメール・レクサプロ(抗うつ薬)を内服されましたが合わなかったとのことです。
X年頃ADHDと診断され、コンサータ(ADHD治療薬)を内服し軽快されています。
X頃~コンサータ、クエチアピン(抗精神病薬)、ルネスタ(睡眠薬)を内服されています。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
消長している抑うつ状態を改善するため、倍量iTBS(1,200発/回)を30回行いました。
TMS10回終了時は、「まだ気分は変わりない。寝起きは楽になった。睡眠もとりやすくなった。」と、気分の改善は無いものの睡眠障害の改善が認められました。
TMS20回終了時も、気分に変わりはありませんでした。
TMS30回終了時は、「調子悪くない。午前中の調子の悪さは減った。睡眠も引き続きとれている。」と少し気分の改善が見られました。
30回目以降は本人の希望により、維持治療へ移行されました。
症例のまとめ
片付けができなくなってしまったという症状に関しては改善が認められませんでしたが、憂鬱な気分や不安に関しては改善が認められました。
やはりADHDによる抑うつ状態には効果があるものの、ADHDの中核症状にはあまり効果が認められない印象でした。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2022年2月18日
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