【適応障害⑤】30代女性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年/6月~X年/8月の62日間
- 主訴:不安や緊張する機会が多く、体のだるさ、気分の落ち込みを感じる。
- TMS治療の目的:社交不安およびうつ状態の改善
- TMS治療プロトコール:倍量TBSとaTBSを組み合わせて20回目標
これまでの経過
精神科には20年以上前に通院歴がありますが、ここ数年受診されていませんでした。
結婚を機に数年前から接客業へ異動となり、日常的に緊張感が増すようになりました。
妊娠を希望されており、今後不妊治療も検討していることからTMS治療を希望されました。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
社交不安障害からうつ状態を合併されていたため、初回治療時より1日2回のaTBS治療を希望され実施しました。
TMS治療5回目からは、刺激強度120%で行うことができました。
TMS治療11回後の診察時は、「調子は悪くない」「ランニングを始めた」との発言がみられていました。
治療20回後の診察時では、「気分の浮き沈みもひどくない」「人前の緊張はひどくない」「運動も続けられている」と、明らかに改善の様子が伺えました。
TMS治療29回後の診察には、「調子は落ち着いている」「人前の緊張感も強くない」と、うつ状態の改善を通して治療目的であった「社交不安」に対しての改善を認めることができました。
再発した際の治療法としてブースターTBSを案内し、一旦TMS治療は終了となりました。
症例のまとめ
初回治療時より1日2回の施術を行い、治療に対して積極的な様子が伺えました。
ご都合でTMS治療の間隔が1週間空くこともあり、1クール終了まで2ヵ月を要しました。
ですが通院いただく際には1日2回のTMS治療を、断続的ではありましたが無理なく行えたことで、治療効果が認められました。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年12月25日
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