【うつ病90】40代女性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年/3月~X年/4月の19日間
- 主訴:憂鬱になる、過食の衝動を抑えられない、集中力がない、片付けられない、落ち込んでしまう
- TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
- TMS治療プロトコール:aTBSと倍量iTBS(1,200発/回) の組み合わせで30回
これまでの経過
精神科初診は高校生の頃で、摂食障害、うつ病と診断された患者様です。
最後に通院していたのは20年前です。
心理療法は10年前までしていたそうです。
ここ数年で、過食嘔吐が慢性化し、薬を内服しても症状改善されなかった為、TMS治療を希望され、当院受診となりました。
過去に、ルボックス(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)を内服していました。現在はしていません。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
抑うつ状態を改善するため、aTBSと倍量iTBS(1,200発/回) の組み合わせで30回行いました。
TMS10回終了時は、「前は過食、買い物に囚われている感じだったが、感覚が変わってきた。冷静に自分をみられるようになってきた。」と判断力が上がってきました。
TMS20回終了時には、「その後も調子よくなってきた。気持ちも吐き出せている。過食も減っている。」と主訴である過食嘔吐も軽減し、効果を実感され始めました。
TMS30回終了時は、「絵を描いてみようかなとか興味が出てきた。買い物をするときに、過食するためだけに支配されていたが、余裕ができた感じ。食べたい物がちゃんと買えている。」と意欲的な姿勢みられ、主訴の改善が認められました。
30回目の治療終了時、「スタッフの皆さんに会えなくなってしまうのが寂しい。皆さんに会うのも心の支えだった」とご本人様からお言葉を頂き、効果を感じられた姿を見て、スタッフもとてもうれしい気持ちになりました。
ブースター治療についてご案内し、終診となりました。
症例のまとめ
長年のうつ病かつ摂食障害で薬物治療を行っていましたが、過食嘔吐が慢性化し、症状が良くなりませんでした。
しかし、TMS治療を行ったことで、自己判断能力も上がり、過食症状の改善が認められました。
薬物治療では寛解できなかった摂食障害に効果がみられた症例でした。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2022年12月23日
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