初回TMS治療の流れについて
1.はじめに
TMS治療室へご案内し、スタッフより資料を基に治療の流れの説明を行います。
2.刺激位置の同定
帽子を被っていただき、頭のサイズを測定します。
左高頻度刺激や右低頻度刺激(うつ病の治療)の場合、専用のソフトを使用して磁気刺激を行うDLPFC(背外側前頭前野)の位置を決定します。
deepTMS治療(強迫性障害へのTMS治療)の場合は、磁気刺激を行う前帯状皮質(ACC)と背内側前頭前野(dmPFC)位置を刺激強度の決定時に特定します。
3.刺激強度の決定
次に、第一運動野にコイルを合わせ、MEPという刺激強度を決定するための検査を行います。
左高頻度刺激や右低頻度刺激(うつ病の治療)の場合、手の親指が第一運動野への刺激に合わせてピクッと動く最小の強さが、治療で必要な刺激強度です。
治療中はコイルを乗せる位置が重要なので、ずれないように首と頭を固定します。
deepTMS治療の場合も、コイルは第一運動野に合わせます。その中で足の指が刺激に合わせて動く位置を確認し、そこから前帯状皮質(ACC)と背内側前頭前野(dmPFC)の位置を特定します。
治療で必要な刺激強度は、足の指がピクッと動く最小の強さとなります。
4.治療開始
DLPFC、もしくはACCにコイルの位置を合わせ、治療開始です。
左高頻度刺激では、パチパチパチと刺激したあと数秒停止し、またパチパチパチと刺激します。
右低頻度刺激では、1秒に1回刺激します。
deepTMS治療では、ダダダダダと刺激したあと20秒停止し、またダダダダダと刺激します。
各治療で、これらの一定のリズムで治療を行います。
刺激部に痛みが生じる場合がありますが、回数を重ねるごとに慣れていきます。
5.治療のご相談
治療後はスタッフにより毎回の治療にかかるお時間や費用、その他ご不明点などお伺いさせていただきます。(目安:10分間)
※2回目以降はこの日に印をつけた帽子をそのまま使用しますので、ご来院 → 受付 → TMS治療 → ご帰宅 という流れに短縮されます。
【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(総合職)も随時募集しています。
また、当法人ではTMS診療の立ち上げ支援を行っており、参画医療機関には医療機器を協賛価格でご紹介が可能です。
ご興味ある医療者の見学を随時受け付けておりますので、気軽にお声かけください。
取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。
執筆者紹介
大澤 亮太
医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師
日本精神神経学会
精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2020年11月22日
関連記事
スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説
勝負が決まる場面で思うようなプレーができず、悔しい思いをしたアスリートの方もおられるのではないでしょうか。 競技中に手がふるえたり、動かなくなってしまったりして、いつも通りのプレーができなくなってしまうことがあります。 … 続きを読む スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説
投稿日:
人気記事
子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
「長い子育てを終えて、やっとひとりの時間ができる」 「子育て中はできなかったことを、たくさん楽しもう!」 そんな風に、子育てを終えた解放感を味わう方もいるでしょう。ですがその反面、強い喪失感や虚無感に苦しむ方も存在します… 続きを読む 子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説
投稿日: