全般性不安障害の治療における右背外側前頭前野への反復経頭蓋磁気刺激:ランダム化二重盲検比較試験
こちらの論文は、
のページに引用しています。
右DLPFC高頻度刺激が不安障害に効果的
こちらは、右DLPFCに高頻度刺激を行ったところ、不安症状の軽減に有効であったとする論文になります。
症例数が少ないために、これをもって右DLPFC高頻度刺激が有効な治療手段とは結論づけられません。
一般的には右DLPFC低頻度刺激が治療に有効といわれており、不安障害に対するTMS治療の最適なターゲットや刺激頻度については、まだまだ確たることはわかっていないのです。
純粋に低頻度刺激と高頻度刺激が正反対の効果をもたらすわけではなく、複雑なメカニズムが背景にあります。
右DLPFC高頻度刺激が効果的とする報告は多くはなく、このように倫理委員会の枠組みの中で、研究が少しずつ進められているのです。
論文のご紹介
英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
背景
全般性不安障害(GAD)に対する第一選択の薬物療法に反応しない患者は50%に上る。
これは、治療の遵守率が低いことや、GADの根底にある複雑な生理機能が原因のひとつである。
そのため、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)のような新しい非侵襲的手法が研究されている。
方法
参加者は、2つの異なる気分障害施設(カナダのオンタリオ州キングストンとブルガリアのソフィア)から集められた。
GADと診断された患者に、右背外側前頭前野(DLPFC)に高頻度(20Hz)のrTMSを適用した後、ハミルトン不安評価尺度(HARS)のスコアを報告してもらった。
結果
25回のrTMS治療が終了するまでに、実刺激群(n=15)は偽刺激群(n=25)と比較して、HARSスコアの臨床的に有意な減少を示した。
来院4回目(25回のrTMS治療後)のHedge’s gは、実刺激群と偽刺激群との間で2.1の差があった。
さらに、2週間後および4週間後の追跡調査(治療終了後)でも実刺激群のHARSスコアは安定しており、それどころかわずかに改善していたことから、反応の効果が持続していることが示された。
限界
実刺激群のサンプル数が比較的少なく、また偽刺激群のサンプル数も少ないため、結果の一般化には限界があると考えられる。
結論
このように、rTMS治療を受けた参加者は、HARSで評価され報告された不安症状について臨床的に有意な減少を示した。
rTMSは、薬物療法に対して難治性の患者の治療オプションになるかもしれない。
カテゴリー:ブログ 投稿日:2021年3月19日