高頻度反復経頭蓋磁気刺激は帯状疱疹後神経痛の痛みを軽減

こちらの論文は、

のページに引用しています。

帯状疱疹後神経痛にM1高頻度刺激が効果あるかもしれない

こちらは、帯状疱疹後神経痛に対してM1高頻度刺激が有効かどうか、40名の患者さんで行ったRCTになります。

治療効果としてプラセボも大きく、3か月で45~50%の痛み軽減効果が認められました。

6か月時点で比較すると、プラセボと比較して実刺激群では―16.89%となっています。

こちらをみると、帯状疱疹後神経痛に対してTMS治療の効果は期待できるかもしれません。

痛みと反対側のM1高頻度刺激は有望なターゲットのひとつですが、症例数も少ないため、本当に効果が期待できるかはさらなる研究が待たれます。

論文のご紹介

帯状疱疹後神経痛のTMS治療についてご紹介します。

英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。

目的

帯状疱疹後神経痛(PHN)は、特に高齢者において最も治療の困難な疼痛疾患の一つである。

反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)が神経障害性疼痛を軽減するというエビデンスがあるが、PHNに対する有効性は不明である。

本研究では、PHN患者における高頻度rTMSの有効性を検討した。

試験設計

合計40名の患者を、一次運動野に対する実刺激または偽刺激rTMSを10セッション受ける群へ無作為に割り付けた。

各セッションでは、周波数10Hz、間隔3秒の5秒間のパルスを300回連続して行い、合計1500回のパルスを照射した。

主要評価項目は、初回介入時(T0)から最終刺激時(T10)までの各刺激前、並びに最終刺激から1ヵ月後と3ヵ月後(T11とT12)に測定した痛みの強さであった。

その他の結果として、短文McGill疼痛質問票、自己評価式抑うつ尺度、生活の質(QOL)、睡眠の質、患者全体の変化の印象、服薬調節、報告された有害事象などを測定した。

結果

実刺激群は、T0(P=0.399)とT1(P=0.091)を除く各時点で、偽刺激群よりもVisual Analogue Scale(VAS)の減少量が大きかった。

疾患期間が6カ月以上の場合、実刺激群の平均VAS低下率は16.89%であった。

これらの鎮痛効果は、QOLに関連する評価スケール項目の長期的な改善と関連していた。

結論

今回の結果から、rTMSはPHN患者において有効かつ安全な治療法であることが示唆された。

【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(総合職)も随時募集しています。

医療法人社団こころみ採用サイト

また、当法人ではTMS診療の立ち上げ支援を行っており、参画医療機関には医療機器を協賛価格でご紹介が可能です。
ご興味ある医療者の見学を随時受け付けておりますので、気軽にお声かけください。

取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。

画像名の[sample]の部分に記事の名前を入れます

執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年4月25日

\ この記事をシェアする /

TWITTER FACEBOOK はてな POCKET LINE

関連記事

スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説

勝負が決まる場面で思うようなプレーができず、悔しい思いをしたアスリートの方もおられるのではないでしょうか。 競技中に手がふるえたり、動かなくなってしまったりして、いつも通りのプレーができなくなってしまうことがあります。 … 続きを読む スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説

投稿日:

【2024年2月最新】東京のTMS治療クリニック24院!見極めポイントを精神科医が詳しく解説

目次 東京でのTMS治療 東京で安心できるTMSクリニック5選 東京でTMS治療を受けられるその他の16医療機関 TMS治療クリニックの選び方 東京横浜TMSクリニックについて 感染対策について 東京でのTMS治療 うつ… 続きを読む 【2024年2月最新】東京のTMS治療クリニック24院!見極めポイントを精神科医が詳しく解説

投稿日:

コロナ後遺症に対し新規経頭蓋磁気刺激法(rTMS)による治療開発 ~多施設共同ランダム化プラセボ対象比較試験の開始~

臨床研究の概要 医療法人社団こころみ東京横浜TMSクリニックは、「コロナ後遺症に伴う不安抑うつ・認知機能障害に対する新規経頭蓋刺激療法(rTMS)による治療法開発に向けた多施設共同試験」を実施いたします。 新型コロナウイ… 続きを読む コロナ後遺症に対し新規経頭蓋磁気刺激法(rTMS)による治療開発 ~多施設共同ランダム化プラセボ対象比較試験の開始~

投稿日:

人気記事

子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説

「長い子育てを終えて、やっとひとりの時間ができる」 「子育て中はできなかったことを、たくさん楽しもう!」 そんな風に、子育てを終えた解放感を味わう方もいるでしょう。ですがその反面、強い喪失感や虚無感に苦しむ方も存在します… 続きを読む 子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説

投稿日:

冬の寒さがメンタルに影響?「冬季うつ」の原因と対策

「冬になると気分が落ち込む」「寒さでやる気が出ない」と、冬になるたびに変化するご自身の体調に戸惑っていませんか? 不調を感じているご本人や、ときには周囲からも「寒さが苦手なだけだろう」と思われがちな冬の不調。 実は、冬季… 続きを読む 冬の寒さがメンタルに影響?「冬季うつ」の原因と対策

投稿日:

精神疾患のお薬を服用しながら運転はできる?お薬に頼らない治療法も紹介

「車がないと会社に通勤できない」 「仕事で車を運転する必要がある」 「生活するうえで、車がないと困る」 日常生活の中で、車の運転が必須になっている方もいるでしょう。 それは、精神疾患の治療をしている患者さんも同じです。お… 続きを読む 精神疾患のお薬を服用しながら運転はできる?お薬に頼らない治療法も紹介

投稿日: