神経因性疼痛における運動皮質rTMSの鎮痛効果の体性機能の局在機構
こちらの論文は、
のページに引用しています。
痛みと反対側の運動皮質の隣接領域がターゲット
こちらの論文は、慢性神経因性疼痛の患者さんに対して、どの運動皮質をターゲットにすることが効果的かを調べた研究になります。
こちらでは興味深い結果となり、手やであれば反対側の顔、顔であれば反対側の手というように、隣接する領域を刺激したほうが効果が期待できるという結果となりました。
実際に治療していくにあたっては、手の領域を中心とした反対側のM1をターゲットにすることが現実的かと思われます。
手の領域であれば親指の動きを見て場所を正確に特定でき、うつ病のターゲットであるDLPFCを特定しているのと同じ方法になります。
場所を特定したら、その強度の80~90%割程度で高頻度刺激を行えば、筋収縮は認められずに治療を行うことができます。
論文のご紹介
英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
背景
運動皮質に対する反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)が慢性神経因性疼痛を緩和することが明らかになったが、刺激部位を含めた最適な刺激パラメータはまだ決定されていない。
目的
慢性神経因性疼痛における運動皮質に対するrTMSの鎮痛効果について、皮質の刺激部位と疼痛部位の関係を明らかにすること。
方法
顔面または手部に痛みのある、片側性の慢性神経因性疼痛患者36名を登録した。
痛みの部位に関わらず、痛みのある側の顔、手または腕に相当する部位へ運動皮質に対するrTMSを10Hzで適用した。
鎮痛効果は、各rTMSセッション後の1週間、visual analogue scaleで毎日評価した。
結果
ターゲットが何であれ、すべてのタイプのrTMSセッションはベースラインと比較して有意に痛みを軽減した。
しかし、顔面痛のある患者では顔面よりも手の方が、手の痛みのある患者では手や腕よりも顔の方が、それぞれ有意に鎮痛効果が高かった。
結論
反復経頭蓋磁気刺激は、痛覚帯そのものに対応する運動皮質領域よりも、痛覚帯の皮質対応部に隣接する領域に刺激を加えた方が、痛みの軽減に効果的であった。
この結果は、外科的に埋め込まれた電極を用いたときに慢性的な硬膜外運動皮質刺激で観察された体性感覚性の有効性と矛盾する。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年4月25日
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