【ADHD①】24歳女性

プロフィール

  • 治療期間:X年6月~X年7月の54日間
  • 主訴:集中力が続かない
  • TMS治療の目的:集中力の改善
  • TMS治療プロトコール:倍量TBS(1,200発/回) 30回

これまでの経過

他院にてADHDの傾向があると診断され、TMSを勧められて来院。

ADHD特性についての改善を希望されましたので、当院では薬物治療を勧めましたが、ご本人の強い希望によりTMS導入となりました。

うつ状態を合併していたため、TMS治療を開始しました。

TMS治療経過

ADHD症例1の心理検査の結果になります。

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査

1日1回と1日2回を組み合わせ、倍量iTBS(1,200発/回)を30回行いました。

TMS10回終了時は、「前よりは落ち込まなくなった。」という発言がありました。

その後、TMS20回終了時は「調子変わりない。仕事も続けている。」とのこと。

TMS30回終了時には、「調子よい。落ち込み減った。集中力の低下も減った。」と、主訴の改善が認められました。

維持治療ご希望されなかったため、終診となりました。

症例のまとめ

仕事を続けながら都内からの通院のため、治療間隔は最大で6日と少し間が空いてしまうこともありましたが、根気強く30回治療を受けていただき、主訴の改善が認められました。

うつ状態を合併している場合は、TMS治療によってうつ状態を改善させることにより、全体的な改善が期待できます。

本質的なADHD特性の改善には、薬物療法の方が効果が期待できますが、うつ状態を伴っている場合はTMS治療も選択肢の一つとなります。

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年8月26日

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