【双極性障害➁】30代女性
プロフィール
- 治療期間:X年4月~X年7月の115日間
- 主訴:双極性障害で措置入院後も抑うつ状態、イライラ感を認める
- TMS治療の目的:双極性障害の改善
- TMS治療プロトコール:右低頻度(1800発)30回
これまでの経過
昨年11月に他院にて措置入院となり、入院加療をしていました。
退院後は転院し薬物療法を継続していましたが、抑うつ、イライラ感が遷延しているためTMS治療を希望されました。
マイスリー5mg(非ベンゾジアゼピン系睡眠薬)、ベルソムラ15mg(睡眠薬)、リーマス200mg(気分安定薬)、四物湯、ガスモチン5mg(消化管運動機能改善剤)、 デパケン200mg(気分安定薬)、レボセチリジン5mg(抗ヒスタミン薬)などを服用していました。
TMS治療経過

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
明らかな双極性障害のため、右低頻度(1800発)のプロトコールを30回行いました。
10回目終了時は、イライラが軽減しました。
20回目に至る前に、TMSもしくはPMSの影響かイライラが増幅したこともあり、治療ペースをあえて少し落としてTMS治療の継続をしました。
20回目終了時は、一人で外出もできるようになり、朝起きられるようになりました。
「治療前と比べたら全然いいと思う」、夫からみて「活動的にもなったと思う」など、周りからも変化に気づく程までに改善しました。
30回目終了時には、「イライラや不安も強くなくなり、PMSからくるイライラもなく過ごすことができた」など、治療前と比べて大きく改善しました。
改善はしたものの、「TMS治療を急にやめてしまうと不安」とのことで、維持療法へ移行することになりました。
症例のまとめ
一度イライラが軽減しましたが月経前のタイミングで再度イライラが強くなり、TMSかPMSの影響か判断がつかない中、いったんペースを落としたことで慎重に治療を行いました。
右低頻度刺激では躁転リスクは極めて低いものの、念のためどちらの影響なのかを見極め、ご本人が負担のないペースで30回の治療を終えたことで快方へ向かいました。
双極性障害のうつ状態はお薬の選択肢も少なく、TMS治療は治療選択肢の一つになります。
カテゴリー:ブログ 投稿日:2021年8月26日