【ADHD②】38歳女性

プロフィール

  • 治療期間:X年6月~X年8月の67日間
  • 主訴:ストレスによる不眠、不安
  • TMS治療の目的:ADHDによる抑うつ状態の改善
  • TMS治療プロトコール:倍量TBS(1,200発/回) 30回

これまでの経過

「ADHDから来るものなのか、急に落ち込みがひどくなった」とのことで、他院を受診されました。

他院にてTMS治療を勧められましたが費用が高く、当院での治療を希望されました。

当院ではADHDに対する適応はないものの、ご本人の強い希望により抑うつ状態の改善を目標としてTMS導入となりました。

X年から約2年間、ADHDのためストラテラを内服されていましたが、効果は実感されませんでした。

TMS治療経過

ADHD②の心理検査の結果をご紹介します

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査

ADHDによる抑うつ状態を改善するため、1日1回治療と2回治療の組み合わせで、倍量TBS(1,200発/回)を30回行いました。

TMS10回終了時は、「睡眠・食欲OK。仕事に行けているが、帰宅後の無気力感はある」とのことでした。

TMS20回終了時には、「気持ちは前より楽かも、前はもっとうじうじ悩んでいた。落ち込みやすいのは変わらないが、浮上しやすくなった。」と、落ち込みが軽減していました。

TMS30回終了時は、「前よりかなり良くなったと思う。落ち込み・不安は軽減している」と、抑うつ状態の改善が認められました。

30回目終了後は、維持治療へ移行されました。

症例のまとめ

ADHDの症状である不注意に対しては、やはり効果が認められませんでしたが、抑うつ状態には効果が認められました。

ADHDの特性そのものには効果は乏しい印象ですが、うつ状態の改善とともに適応力があがり、生活の質は改善が認められていました。

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年9月21日

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