【適応障害㉑】 30代女性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年/8月~X年/10月の41日間
- 主訴:朝起きれない、イライラ、憂鬱、頭が働かない、子育て放棄、音に過敏
- TMS治療の目的:易疲労感、倦怠感、不安、イライラ感の改善/li>
- TMS治療プロトコール:倍量iTBS(1,200発/回)を30回
これまでの経過
同年4月に、他院精神科受診歴のある患者様です。
2年前から精神的な疲労を感じておられましたが、受診は1回のみで終了していたとのことでした。
当院の診察では易疲労感、倦怠感、不安、イライラ感が認められ、TMS治療を希望されました。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
易疲労感、倦怠感、不安、イライラ感を改善するため、倍量iTBS(1,200発/回)を30回行いました。
TMS10回終了時は「治療効果は感じられています」とお話され、治療3回目を終えたあたりから調子が上向いているご様子でした。
イライラ感は残存しているともお話されていましたが、朝起きやすくなる、思考がクリアになるなどのご体感があったそうです。
お子様の発言にも一呼吸おいて対応できるようになったとのことでした。
TMS20回終了時は「あまり大きな変化は感じられてないかな。頭はクリアになった気がします」とお話されていました。
また、「朝は6時には起きられるんですけど、寝た感じがしなくて…。これが改善されたらいいですね」と睡眠についても言及され、起床しやすくなった一方で熟眠感が追い付いていないとのことでした。
TMS30回終了時は「今すごい調子いいです」とご体感を述べられていました。
30回目までに胃腸の不調に見舞われる時期がございましたが、鍼治療も始めて回復傾向にあるとのことでした。
心理検査においては、HAM-Dの抑うつ症状や倦怠感、疲労性の評価項目で症状の改善が見られました。また、MADRSではほぼすべての評価項目で2ポイント以上の減少が見られ、主訴の改善が認められました。
症例のまとめ
週3~4日のペースでご通院いただき、1日2回治療も交えながら30回の治療を終えられました。
適応障害による種々の症状が生じる中、午後のご通院から始められ、通院のリズムを作って来られました。その過程で早い段階からご体感が得られたこともあり、治療期間の後半には午前中の通院もできるようになりました。
適応障害でも一定以上のうつ状態を認める場合は、うつ状態の改善に伴って身体病状に対しても、TMS治療のプロトコルが有効であることが示された症例です。
カテゴリー:ブログ 投稿日:2023年1月3日