【適応障害①】58歳女性

プロフィール

  • 治療期間:【急性期】X年/5月~X年/6月の48日間
  • 主訴:気分が沈んでいる、無気力
  • TMS治療の目的:抑うつ状態、不安の解消
  • TMS治療プロトコール: aTBS(1200発×2回)30回

これまでの経過

乳がんを罹患してから抑うつ状態が悪化し、他院の心療内科を受診された方です。

薬物療法を行うも、「気分が沈んで何もやる気が出ない」などの症状が続くため、当院を受診することとなりました。

抗うつ剤(リフレックス・トリンテリックス)を内服されていました。

TMS治療経過

ADHD⑤の心理検査の結果をご紹介します

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査

薬物療法を行うも抑うつ状態、不安が消長しているため、TMS治療を開始することになりました。

一日2回(2400発)のiTBSを、acceleratedプロトコールを30回行いました。

10回目終了時は、少し気分が上がってきたような感覚がありました。

20回目も変わらず調子が良く、「楽しい気分も感じられるようになり、人と話すことも苦に思わなくなるなどまた一段階改善した」とのことでした。

30回目終了時には、「落ち込みも不安も低下し、食欲も睡眠も問題ない状態となる」など、大きく改善しました。

症例のまとめ

週3日、固定の曜日の治療となりましたが、そのペースをしっかりと守って一日2回の治療を行えたことでTMS治療が著効しました。

前医にて適応障害の診断でしたが、うつ病エピソードを満たしており、病的にエネルギーが低下してしまった場合はTMS治療の良い適応となります。

薬物療法でも効果が不十分であった症例ですが、TMS治療により寛解が得られ、薬物療法が反応しない方にも効果が期待できることが経験できました。

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年9月21日

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