【不安障害⑦】40代女性

プロフィール

  • 治療期間:【急性期】X年/6月~X年/7月の44日間
  • 主訴:気分の落ち込み、起床がつらい
  • TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
  • TMS治療プロトコール:倍量iTBS(1,200発/回) 30回

これまでの経過

不安神経症により20代半ばまで通院歴があった方です。現在は通院、服薬共にされていません。

病院紹介サイトにて当院を知り、来院されました。

他院の光トポグラフィ検査では双極性障害のパターンでしたが、明らかな躁病エピソードは確認できなかったため、左高頻度刺激にてTMS導入となりました。

TMS治療経過

不安障害3の心理検査の結果をご紹介します

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査

不安神経症による抑うつ状態を改善するため、1日1回と1日2回を組み合わせ、倍量iTBS(1,200発/回)を30回行いました。

TMS10回終了時には、「TMSを受けてうつ症状はなくなったが、神経過敏がまだ残っている。」と、抑うつ状態の改善は認められました。

しかし、ご本人様より「眠りづらくなった気がする。左側のチケットは残っているが、右側の治療も気になる。他院での治療も気になっている。」とのことで、担当医師からは、“左に関しては少しペースを落として続けるか、7割返金にするかどちらかにしましょう。右の低頻度に関してはいつからでもスタートできるので、他院の治療も調べて頂いてから決めましょう”とご提案しました。

その後、当院での左高頻度刺激をご希望されたため治療は継続となりました。

TMS20回終了時には、「このまま続けようと思っている。少しペースは落としていこうと思う。イライラ、躁状態はない。」と。

TMS30回終了時では、「落ちこみは強くない。プールに行きたい。不安はまだあり、電車でじっとしていられない感じ。」とのことでした。

30回目以降の治療に関しましては、少し様子を見たいとのことで終診となりました。

症例のまとめ

明らかな躁鬱エピソードは認められなかったものの、イライラの増強や操転がないかどうかを治療スタッフが毎回確認しながら慎重に治療を行いました。

MEPがかなり高めだったこともあり頭痛が度々あったようですが、しっかりと治療に通って頂き、抑うつ状態の改善が認められました。

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2022年2月18日

関連記事

【中部】甲信越・北陸・東海地方のTMS治療クリニック・病院を紹介

うつ病の治療法として、2019年に保険適応として認可された「TMS治療法」(反復経頭蓋磁気刺激療法)。 治療の副作用の少なさ、治療期間の短さ、再発率の低さが特徴賭する治療法ですが、保険診療での制約は大きく、まだあまり知ら… 続きを読む 【中部】甲信越・北陸・東海地方のTMS治療クリニック・病院を紹介

投稿日:

脳卒中による運動麻痺とTMS治療

脳卒中の後遺症である運動麻痺にTMS治療は、「効果がある可能性がある」と考えられています。 脳卒中の運動麻痺といっても様々ですが、とくに上肢麻痺(手)に対してエビデンスレベルAとなっています。 その他にも下肢麻痺など運動… 続きを読む 脳卒中による運動麻痺とTMS治療

投稿日:

脳卒中とTMS治療

脳卒中の後遺症にTMS治療は、「効果がある可能性がある」と考えられています。 その後遺症の内容によって異なりますが、上肢(手)麻痺に対してエビデンスレベルAとなっています。 その他にも失語症や下肢麻痺などにも治療が試みら… 続きを読む 脳卒中とTMS治療

投稿日:

人気記事

子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説

「長い子育てを終えて、やっとひとりの時間ができる」 「子育て中はできなかったことを、たくさん楽しもう!」 そんな風に、子育てを終えた解放感を味わう方もいるでしょう。ですがその反面、強い喪失感や虚無感に苦しむ方も存在します… 続きを読む 子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説

投稿日:

「燃え尽き症候群(バーンアウト)」とは?なりやすい人や治療法を解説

「燃え尽き症候群(もえつきしょうこうぐん)」とは、その名の通り、それまでの意欲や熱意がまるで燃え尽きたように消失してしまう状態のことです。 もともとは意欲があった人が、突然やる気を失う。いきなりの変化に「あんなに熱意があ… 続きを読む 「燃え尽き症候群(バーンアウト)」とは?なりやすい人や治療法を解説

投稿日:

精神疾患のお薬を服用しながら運転はできる?お薬に頼らない治療法も紹介

「車がないと会社に通勤できない」 「仕事で車を運転する必要がある」 「生活するうえで、車がないと困る」 日常生活の中で、車の運転が必須になっている方もいるでしょう。 それは、精神疾患の治療をしている患者さんも同じです。お… 続きを読む 精神疾患のお薬を服用しながら運転はできる?お薬に頼らない治療法も紹介

投稿日:

\ この記事をシェアする /

TWITTER FACEBOOK はてな POCKET LINE