舌痛症(BMS)における連日の前頭前野に対するrTMSの有効性:ランダム化対照単盲検試験
こちらの論文は、
のページに引用しています。
左DLPFC高頻度刺激が鎮痛効果があるかもしれない
こちらの研究は、舌痛症や口腔灼熱症候群(BMS)に対するTMS治療についてのRCTになります。
20名の患者さんをTMS治療群と偽刺激群にランダムに割り振って、その治療効果を比較したものになります。
その結果として、実刺激群では67%の鎮痛作用が報告され、最終評価で50%以上の改善を認めた方が実に4人に3人にのぼりました。
気分の変化に伴うものでもなく、開始1週間後から実刺激群のみ鎮痛効果が認められ始めたという結果となっています。
症例数が少ないことや、二重盲検化されておらず治療者(論文著者)の主観が評価に反映されやすいという点はありますが、左DLPFC刺激によって舌痛症が改善する可能性が示唆されています。
更なる研究は必要となりますが、TMS治療が有効な治療法の一つである可能性があります。
論文のご紹介
英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
背景
口腔灼熱症候群(BMS)は、対応する異常所見を伴わない口腔内の灼熱感である。
BMSは薬理学的治療に抵抗性を示す場合もある。
左前頭前野への反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は、急性および慢性の疼痛に対して鎮痛効果を示す。
しかし、BMSに対するその効果は評価されていない。
目的
今回のランダム化比較単盲検試験の目的は、BMSに対する前頭前野rTMSの有効性を評価することであった。
方法
BMS患者20名を募集し、10Hzで合計3万パルスの実刺激群(n=12)または偽刺激群(n=8)へランダムに割り付けた。
治療開始から2ヵ月後までのBMSの疼痛状態、機能状態、気分の変化を評価した。
結果
実刺激群では、BMSの痛みの強さが67%減少し、75%の患者が最終評価でベースラインと比較して50%以上の痛みの減少を報告したが、重い副作用はなかった。
投与1週間後には、実刺激群では有意な痛みの軽減が認められたが、偽刺激群では全く認められなかった。
また、機能的状態の変化についても同様の傾向が確認された。この試験では、気分や痛みの感情面での変化は見られなかった。
結論
BMSの疼痛は、左DLPFCへの高頻度rTMSを用いた2週間の治療により、偽刺激群と比較して有意に改善した。
BMSの潜在的治療法としてのTMSを洗練し改善するため、さらなる研究が必要である。
カテゴリー:ブログ 投稿日:2021年5月1日