【コロナ後遺症①】60代女性

プロフィール

  • 治療期間:【急性期】X年/9月~X年/11月の42日間
  • 主訴:激しい倦怠感、耳鳴り、みぞおちの痙攣
  • TMS治療の目的:易疲労感、倦怠感、不安、不眠の改善
  • TMS治療プロトコール:倍量iTBS(1,200発/回)を30回

これまでの経過

2022年4月にコロナウイルス感染症に罹患された患者様です。

それまで精神科通院歴はございませんでしたが、感染症発症後より強い倦怠感などが発現したため、薬物療法やBスポット治療を実施した経過があります。

その後も症状が続いているため、当院でのTMS治療を希望されました。

TMS治療経過

コロナ後遺症①の心理検査の結果をご紹介します

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査

易疲労感、倦怠感、不安、不眠の症状を改善するため、倍量iTBS(1,200発/回)を30回行いました。

TMS10回終了時は「落ち込みは強くない」「前より眠れている」とのご体感や、体力も少しずつついてきた実感がおありとのことでした。大きな副作用もなく、ご家族から見ても以前より調子の良い様子が窺えるというお話もございました。

TMS20回終了時は「体力がついてきた」とお話になり、ストレッチや散歩といった活動にも取り組めるようになっていました。頭痛や耳鳴りは続く一方、睡眠薬を減薬でき、食欲も回復傾向であるとのことでした。

TMS30回終了時は「治療を受けて、疲れにくくなり、動けるようになりました」とのご感想をいただきました。外出や買い物も楽しめるようになり、家事にも取り組むことができるまでになりました。

心理検査においても症状の改善が認められ、中でも、抑うつ気分、ネガティブな感情、健康状態への不安感、周囲への興味・関心、集中力にまつわる項目で大幅な点数の改善が見られました。

症例のまとめ

週5回のペースで意欲的に通院され、30回の治療を終えられました。

治療中はご家族の同伴の元で治療に臨まれ、倦怠感等の症状からご移動やお話しぶりが緩慢なご様子が見受けられました。

治療回数を重ねるうちに、表情の和らぐ場面や滑らかにお話される場面が増え、客観的にも心身の症状改善が窺える症例となりました。

本症例を通して、コロナウイルス感染症を契機とした身体症状や抑うつ症状に対しても、当院の治療プロトコルが有用であることを実感することができました。

【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
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執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2023年1月26日

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