【うつ病⑭】49歳男性
プロフィール
- 治療期間:X年3月~X年6月の74日間
- 主訴:無気力、不眠傾向
- TMS治療の目的:抑うつ状態、強迫症状の改善
- TMS治療プロトコール:倍量iTBS30回 (1日2回週2回のaTBS)
これまでの経過
30年前に精神科を受診し、うつ病と診断されました。
投薬治療を1か月ほど続け、始めは効果を認めていましたが徐々に効果が弱くなってきたため、その後は通院せず自力で治したそうです。
今回他院にてASDと診断されTMSを勧められましたが、費用面で他院での治療は断念し、当院での治療を希望されました。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
平日は倍量TBS、日曜日はaTBS、30回まで施行しました。
TMS10回目終了時、「前よりも気分が落ち着いて来たのは良かった。楽しいという感覚も戻ってきた」という発言がありました。
TMS20回目終了時には「調子もよく気持ちも上向いた」、「落ち込みも減り気持ちの高まりやイライラ感も減った」との事。
TMS30回目終了時は「調子よくなり落ち込みや不安が減った」、「しばらく行かなかったジムも再開しようかと思っている」と効果を感じていらっしゃいました。
今後については維持療法を勧めており、ご検討いただいています。
症例のまとめ
TMS治療の回数を重ねるごとに落ち込むことが減り、気持ちの上向きを実感できたケースです。
反復エピソードのために維持療法が望ましいため、週1~隔週の維持療法を検討いただいています。
他院にて発達障害の診断となっていましたが、根拠の乏しい画像検査だけでの診断であり、積極的には疑えませんでした。
このためTMS治療によって、まずはうつ状態の改善を目指し、治療効果があらわれて社会適応も改善しました。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年8月20日
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