当院のうつ病TMS治療成績(2020年12月~2021年12月末)

治療成績

  • 病名:うつ病
  • 期間:2020年12月~2021年12月31日
  • 症例数:30回実施150名(20回実施214名)

寛解率47% 反応率70%程度

操作的診断でうつの治療成績2021年12月までになります。

当院が開院した2020年12月から、2021年12月末までの全症例(150例)のうち、うつ病として急性期治療終了となった患者様の治療成績をご紹介します。

まずはDSM-5というアメリカの診断基準でうつ病と診断された方のうち、30回のTMS治療を終えた方のデータをお示しします。

結果としては、

  • 寛解率:47%(症状を特に感じずに生活できる状態)
  • 反応率:74~75%(病的とまでいかない症状が残っている状態)

となりました。

寛解はHAM-D7点以下かつMADRS10点以下反応率は50%以上の改善が認められることを条件としています。

20回終了時点での治療成績

2021年12月まででの。20回終了時点でのうつ病TMS治療成績になります。

TMS治療の効果発現には個人差があり、カナダのガイドラインであるCANMATでも、20回までを推奨治療プロトコールとしています。

このため当院でも、20回まではなるべく治療を重ねてほしいとお願いしていますが、20回の時点で治療終了となってしまう方も少なくありません。

そのなかには、治療効果が乏しくて中止される方が多いだろうと考えられたため、今回は20回時点も含めて統計整理してみました。

診察のなかで担当医が心理検査を行っている都合上、当院では20回でのHAM-DやMADRSがとれておりません。

検査未実施例につきましては、カルテのアセスメントから治療反応あり群と乏しい群に分けました。

寛解率はわかりませんが、結果として治療反応率は少し低下し、70%程度となりました。

診断カテゴリー別での治療成績

今回はさらに踏み込み、主病名を整理して解析をしてみました。

日本では、古典的診断として「心因性」「内因性」といった考え方があります。

欧米では診断基準にあてはめて、該当すればうつ病といったように診断していきますが、このことを「操作的診断」といいます。

ここでは日本的な主病名での診断をもとに、それぞれ治療成績を求めました。

うつ病・持続性気分障害

うつ病の中核群のTMS治療成績を2021年12月まで解析しました。

いわゆるうつ病や気分変調症(持続性気分障害)が主病名となる82名を対象に、治療成績をお示しします。

結果としては、

  • 寛解率:50%(症状を特に感じずに生活できる状態)
  • 反応率:68~70%(病的とまでいかない症状が残っている状態)

となりました。同様に20回終了時点では、

2021年までの東京横浜TMSクリニックでのうつ病中核群20回目までTMS治療成績をお示しします。

こちらでは、70%程度の治療反応が認められています。

二次性うつ病

二次性うつ病の、2021年12月までのTMS治療成績をお示しします。

HAM-D15点以上の中等度以上のうつ症状を認め、主病名が発達障害などその他の病気である54名の患者さんの治療成績をお示しします。

結果としては、

  • 寛解率:44%(症状を特に感じずに生活できる状態)
  • 反応率:83~89%(病的とまでいかない症状が残っている状態)

となりました。同様に20回終了時点では、

東京横浜TMSクリニックの、二次性うつ病20回TMS治療(2021年12月末まで)の治療成績をお示しします。

こちらでは、80%程度の治療反応が認められています。

二次性うつ病では、治療反応性が高い反面、寛解率が低い傾向があります。

治療成績の考察

うつ病でのTMS治療成績になりますが、かなり良い治療成績となったかと考えられます。

治療成績の参考になるものとして、アメリカでの多施設観察研究があります。

うつ病TMS治療の、アメリカでの観察研究による効果の結果を図にしてご紹介します。

42施設(76%が民間クリニック)257人で1年の経過観察をしていて、およそ寛解率は40~45%、反応率62~67%になります。

こちらをみると、当院では寛解率が50%と、比較しても高い治療成績となりました。

この結果は治験などとは異なり、プラセボ効果や心理療法的な側面も含めての結果ですので、研究などで示されている治療成績よりも高くなります。

それを考慮しても高い治療成績が認められた要因としては、大きく3つあると考えています。

  • 標準治療が2倍量iTBS
  • スタッフのかかわり
  • 評価者が医者

通常は600発のiTBSとなりますが、当院では治療効果を高めるために倍量の1200発のiTBSとなっています。

またゆとりある人員配置となっていることもあり、スタッフと患者様の距離も近い印象があります。

こういった治療としての特徴もありますが、評価者が医者であることは、実態よりも治療成績を良くしてしまっている可能性もあります。

患者様はみなさん、医師には良い面を伝えていただくことが多いですし、評価する医師も良くなってほしいという希望が結果に影響している可能性があるのです。

治療成績を可視化して治療向上へ

東京横浜TMSクリニックでは、治療の前後で精度の高い心理検査を実施することで、治療成績を数字にして評価しています。

当院では、うつ症状に対するTMS治療実施にあたっては、HAM-DやMADRSといった薬の治験などでも実施する心理検査を行います。

こちらは専門家が評価する心理検査になり、自記式のSDSなどとよりも精度が高く、適切な治療判断につながります。

当院ではこのように治療成績を可視化することで、さらなる治療向上を目指しています。

またスタッフが症例サマリーを作成することで、多職種で治療の検証を行っています。

安心してTMS治療を受けていただくために、客観的なデータを発信していきたいと考えています。

うつ病とTMS治療

カテゴリー:ブログ  投稿日:2022年2月24日