【うつ病㉑】28歳男性

プロフィール

  • 治療期間:【急性期】X年/2月~X年/6月の88日間
  • 主訴:寝つきが悪い、体が重い、意欲が湧かない
  • TMS治療の目的:うつ状態の改善
  • TMS治療プロトコール:倍量iTBS30回 (1日2回週3~5回のaTBS)

これまでの経過

意欲低下や易疲労感、入眠障害や不安といったうつ症状が認められました。

他のTMSクリニックを受診されましたが、費用面で断念して当院に来院されました。

他院にてTMS治療を1度受けていますが、服薬の経験はありません。

当院としては、スタンダートな治療として薬物療法も説明しましたが、ご本人よりTMSのみで治療したいとご希望ありました。

明確なうつ症状を認めTMS治療での改善が期待できましたので、当院にてTMS治療開始となりました。

TMS治療経過

うつ病症例21の心理検査の結果をご紹介します

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査

抑うつ状態改善のため、iTBSを1日2回のaTBSにて30回実施しました。

10回目終了時には、「睡眠はイマイチだけど趣味は再開できた。」と多少向上している様子でした。

20回目終了時には、「免許とろうと思って教習所に通っている。読書、スポーツも楽しめる。」

と意欲は戻ってきましたが、「まだストレスへの耐性は低いと思う」と不安もあるようでした。

30回目終了時には、「調子は悪くない。就労への不安はあるがやる気は出てきた。睡眠もとれている」

と、改善傾向を認めました。

治療後のフォローとしては、週に1回の維持療法を行っています。

症例のまとめ

典型的なうつ病の患者様に対して、週3~5回でのaTBSを行って寛解につながった症例になります。

うつ病患者さんの中でも、若い方にはとくにTMS治療の効果は期待できることを感じさせられた症例です。

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年8月28日

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