【うつ病㉓】43歳男性

プロフィール

  • 治療期間:【急性期】X年/3月~X年/6月の70日間
  • 主訴:集中力低下 易怒性 不穏
  • TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
  • TMS治療プロトコール:倍量iTBS30回 (1日2回週2回のaTBS)

これまでの経過

数年前に母親が死去したことにより、うつ病を発症して近医にて治療を行っていました。

1年前に就職しましたが、最近になり仕事に集中できなくなってきたため当院に来院となりました。

TMS治療経過

うつ病症例23の心理検査の結果をご紹介します

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査

1日2回の週2回ペースで30回まで施行しました。

TMS10回目終了時は、「イライラが少なくなり仕事に対しても意欲的になってきた」との報告がありました。

TMS20回目終了時は、「調子は悪くなく周りがよくみえるようになってきました。イライラして余裕がなかったのが落ち着いてきたように思います。日中音楽聴いたり、公園に行って気分転換を図っていて仕事への意欲や集中力も出てきました」と、治療効果を実感いただいていました。

TMS30回目終了時は、「仕事は順調で問題ない」とのことで、社会生活も問題なくおくれていました。

治療後のフォローとしては、遠方でしたので維持療法は行いませんでしたが、当院の心療内科に転院し様子を見ていくこととなり、今後症状が悪化すればブースターTMSを実施することとなりました。

症例のまとめ

TMS治療の回数を重ねるごとに仕事に対する意欲が出てきており、最も困っていた集中力の低下が改善しました。

心理検査でも寛解が達成できており、薬物療法で再発がみられた場合にはTMS治療は良い治療選択肢であると感じた症例です。

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年8月26日

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