【うつ病㉚】41歳男性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年/1月~X年/3月の48日間
- 主訴:頭が霧がかってもやもやする、息苦しい、めまい、ADHD、不安症、抑うつ状態
- TMS治療の目的:抑うつ状態
- TMS治療プロトコール:倍量iTS30回 (1日2回週2ー3回のaTBS)
これまでの経過
10年ほど前から飲酒量増加し、1年ほど前から前日のお酒が日中も抜けず、調子が悪い状態が続いていました。
幼少期の頃から忘れ物が多く、片付けられない、待てない、話をさえぎる等のADHD症状もありました。
心療内科に来院したのは当院がはじめてで、通院歴はありませんでした。
TMS治療経過

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
アルコール依存症のため8カ月前から断酒をされていましたが、抑うつ状態、不安感が続いていました。
薬物療法を勧めましたが、本人の強い希望でTMS治療を行っていくことになりました。
TMS10回終了時には、「調子がよくなってきた。思考力の低下や、認知機能の低下もよくなってきた。今後の心配はある、断酒も続けている」と、不安感はありつつも、うつ症状は改善傾向を示しました。
TMS20回終了時には、「調子悪くない、TMSが効いていると思う」とあり、奥さんから見ても「泣いたり落ち込みは減ってきた」とのことでした。TMS30回終了時には、「調子よくなってきた。就労もできているしパフォーマンスも上がってきた。最近、TMSを受けてよくなったので薬の治療も試したいと思い、レクサプロと睡眠薬処方された。薬で維持療法していきたいと思う」と、TMS治療を終了されました。
他院の薬物療法で維持しつつ、断酒も継続するよう伝えました。
症例のまとめ
不安や焦りから最初は他の意見を取り入れるのが難しかったですが、TMS治療により症状が安定することで、他の治療への選択肢も広がりました。
ADHDに伴う二次障害をTMS治療で改善したことで、認知が柔軟となり薬物療法も開始できました。
TMS治療は、二次性のうつ状態にも効果が期待できることが経験できた症例になります。
また依存症に対してもTMS治療の効果が注目されており、断酒の継続という面で、副次的な効果も期待できた症例になります。
カテゴリー:ブログ 投稿日:2021年9月2日