【うつ病㉝】55歳男性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年/2月~X年/3月の24日間
- 主訴: 憂鬱になる、頭が回らない
- TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
- TMS治療プロトコール:倍量iTMS30回 (1日2回週5回のaTBS)
これまでの経過
精神科初受診は15年前、仕事のストレスで抑うつ状態となり通院しました。
その後2施設受診し、現在も他院に通院中です。
調子はよくなっていましたが、飲食関係の仕事のためコロナにより倒産し、抑うつ状態が悪化してしまいました。
十分量の薬物療法を行いましたが抑うつ状態が遷延してしまい、TMS治療を希望されて当院に来院となりました。
15年前の心療内科通院時は、漢方中心の治療を2年続けていました。
7年前に脊髄性頚椎症のオペを受け、その後から社会復帰ができず、半年入院歴もあり、4年休職も経験しています。
現在も他院にて、レンドルミン・マイスリー(睡眠導入剤)、リボトリール(抗不安薬)、イフェクサー・サインバルタ(抗うつ薬)を服用しています。
TMS治療経過

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
うつ病で他院通院中のため、倍量TBSを1日2回のaTBSプロトコールにより、iTBSを30回行いました。
TMS10回終了時には、「調子よい。頭がスッキリしてきた。この治療が合っている。」と効果を実感され、30回まで継続しました。
TMS30回終了時には、「調子よくなった。落ち込みも減って、睡眠もとれている。薬もしっかり内服できている。」と抑うつ状態が改善されたため、TMS治療は終了となりました。
治療後のフォローとしては、かかりつけ医に通院しつつ、状態が悪化した場合にブースターTMS治療をご案内しました。
症例のまとめ
TMS治療と薬物療法を併用して行うことで、抑うつ状態の改善が認められた症例になります。
薬物療法の反応が限定的であった場合は、メカニズムの異なるTMS治療は効果が期待できることが確認できた症例になります。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年8月23日
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