【双極性障害⑦】54歳男性
プロフィール
- 治療期間:X年3月~X年6月の111日間
- 主訴:1度良くなった鬱状態が再燃
- TMS治療の目的:再燃した抑うつ状態の改善
- TMS治療プロトコール:右低頻度rTMS(1800発) 30回
これまでの経過
以前からうつ病の治療をしており、遅発性ジストニアのため3年半前に8カ月入院しました。
その後、双極性障害と診断されています。
リチウム(気分安定薬)、ベルソムラ(睡眠薬)を服用しています。
また、1年前にTMS治療の治験にて右低頻度30回施行し改善しましたが、半年後に抑うつ状態の再燃を認めたためTMS治療をご希望されました。
TMS治療経過

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
双極性障害で他院通院中のため、双極性障害の改善を目指す右低頻度rTMSを30回行いました。
10回目終了時には、「調子がよくなってきた。6回目に受けてから効果が体感できるようになってきた。ジストニアにも効いていると思う」と効果を実感されていました。
20回目終了時にも、「調子悪くない」とのことで、30回まで継続しました。
30回目終了時には、「調子よい。20回前半で調子を崩したが、今はまたよくなってきた。ちょっとペース落としたのがきっかけかも。今は気分も安定している」と、改善傾向を認めました。
維持療法については、軽躁エピソードの程度も比較的軽めであったこともあり、左高頻度のプロトコルに変更して週1回で行っていくことになりました。
症例のまとめ
治験でのTMS治療により寛解したうつ状態が再燃した症例になります。
双極性障害ではうつ状態の反復はやむを得ませんが、TMS治療によってふたたび早期に改善が認められました。
維持療法については、躁エピソードの程度を考慮して経済的なバランスで高頻度刺激を選択しました。
維持療法については方法論が確立していませんが、今後の経過をみさせていただくことで当院としても勉強させていただく症例となりました。
カテゴリー:ブログ 投稿日:2021年8月23日