【うつ病95】10代男性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年/8月の12日間
- 主訴:朝起きれない、寝た気がしない、やる気が出ない、興味意欲の低下
- TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
- TMS治療プロトコール:通常iTBS(600発/回)を30回
これまでの経過
他院精神科に通院中の患者様です。
薬物療法が奏功せず、意欲低下を伴う抑うつ状態が消長しているため、当院でのTMS治療を希望されました。
エビリファイ(抗精神病薬)、セルトラリン(抗うつ薬)を服薬されています。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
抑うつ状態を改善するため、通常iTBS(600発/回)を30回行いました。
元々頭痛が出やすい体質であることと、治療に伴うお痛みにも敏感であったことを踏まえ、TMS10回終了時までは頭痛や疼痛等の様子を見ながら治療を進めていきました。
TMS20回終了時は「興味関心についてはまだ弱いが、朝起きるのが楽になった」とお言葉がございました。
食欲が回復してきたご様子もあり、イライラ感や不眠の増悪の増悪もなく経過していました。
TMS30回終了時には「睡眠と食事がしっかり摂れるようになりました」とお話されていました。
また「やって良かったです。落ち込んでもうつによるものか自分の特性みたいなものか判断できました」といったご感想や、治療に際し滞在を受け入れてくださったご親族に前向きな感謝を述べるご様子もあり、当初の抑うつ的な表情から明るい変化が見られました。
心理検査上でも症状の改善が認められる結果となりました。
当院でのTMS治療は終了し、他院での薬物療法を継続することとなりました。
症例のまとめ
1日3回治療を行う短期集中プランにて、2週間ほどで30回の治療を終えられました。
治療当初は頭痛にお悩みの様子があり、毎回スタッフと相談し治療設定を微調整しながらの治療となりました。
また、遠方から慣れない土地へ出て滞在され、1日3回と頻回の治療であったことから、スタッフ側も疲労感などを注意深く見守り治療を実施しました。
患者様ご自身も懸念を抱えながらの通院であったと思いますが、予定通り治療を重ねられ、治療20回を終了する頃にはご表情や受け答えにまで変化が見られました。
一回一回の治療からご信頼をいただいことが患者様のご通院努力に繋がり、効果として実った症例となりました。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2022年12月23日
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