【うつ病94】50代女性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年/1月~X年/2月の36日間
- 主訴:頭が回らない、言葉が出てこない、考えがまとまらない。
- TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
- TMS治療プロトコール:倍量iTBS(1,200発/回)とaTBSの組み合わせで 30回
これまでの経過
精神科は、当院が初めての患者様です。
コロナの影響で職場環境が変わり胃が不調になり、職場のストレスも増え、抑うつ状態が増悪しました。
薬物療法に抵抗があった為、当院でのTMS治療を希望されました。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
抑うつ状態を改善するため、倍量iTBS(1,200発/回)とaTBSの組み合わせで 30回行いました。
TMS10回終了時は、「楽になってきた。仕事をしていても色んな事が繋がる感じになってきた。」と早期に効果を実感し始めました。
TMS20回終了時には、「調子よくなってきた。鉛みたいなものがとれてきた。食事作りもできるようになってきた。物事を考えられるようになり、不安も軽減した。」とのことでした。
TMS30回終了時は、「大きく落ち込むことなかった」と仕事で考えもまとまるようになり、主訴の改善が認められました。
維持療法についてご案内し、ご本人様の希望で維持療法を行う方針となりました。
症例のまとめ
倍量iTBS(1,200発/回)とaTBSの組み合わせで 30回を治療間隔3日以上空けることなく通院し、終えることが出来ました。
治療開始時は不安や抑うつ状態が酷く、表情も強張っていました。
また、慣れない刺激の為痛みにも敏感で、治療後の頭痛を生じることがありました。
しかし、治療10回終了後から治療効果を感じられ、表情も和らいできました。
治療30回終了直前では笑顔でお話しされている印象がとても強いです。
治療間隔を3日空けず、1日2回治療を組み合わせて行うことにより、早期で治療効果を得られた症例です。
今後維持療法として、徐々に治療回数を減らしながら治療を行っていく予定です。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2022年12月23日
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