【うつ病96】50代女性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年2月~X年3月の41日間
- 主訴:記憶力・理解力・注意力の低下、ケアレスミス、仕事や家事に途中で飽きてしまう
- TMS治療の目的:認知機能の改善
- TMS治療プロトコール:倍量iTBS(1,200発/回) 30回
これまでの経過
3~4年前から仕事のストレスにより、認知機能の低下を認めました。
それ以前は症状がなかったとのことで、うつ状態としての心理検査は軽度ではありましたが、ご本人の強い希望でTMS導入となりました。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
抑うつ状態を改善するため、倍量iTBS(1,200発/回)を30回行いました。
TMS10回終了時は、「気分の変化はまだ感じない。」とのことでした。
TMS20回終了時には、「考えがまとまるようになってきた。整理もできるようになってきた。」と少しずつ効果を実感されていました。
TMS30回終了時は調子も良く、「前よりも考えもまとまるようになった。集中力も改善してきている。中途覚醒もなくなった。」と、主訴の改善が認められました。
ブースター治療についてご案内もして、終診となりました。
症例のまとめ
一般的なうつ病ではなく認知機能低下が主訴のため、効果の保障は出来かねる旨をご本人了承の上治療を行いました。
海外の先行研究では、重症度の違いによっての治療効果に差がみられなかたことが報告されていますが、今回は軽症ではありましたが治療反応がえられた症例になります。
認知機能の低下に対しては、TMS治療は効果が期待できることを実感できた症例になります。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2022年12月23日
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