経頭蓋磁気刺激による大うつ病と併存疾患の治療
こちらの論文は、
のページに引用しています。
TMS治療は他の病気をベースにしたうつ状態にも有効
こちらの論文では、他の病気に合併したうつ状態にTMS治療が有効かどうかをシステマティックレビューしたものになります。
これによれば、うつ状態の改善と併せて、併存疾患の治療にも効果が期待できることが示されています。
うつ状態が改善することで、結果としてベースの病気も良くなるということですが、これはお薬の治療でも同様のことが言えます。
気分が安定することでストレスが軽減し、結果としてベースにある病気の症状も安定に向かうのです。
このためTMS治療は、他の病気に合併したうつ状態の治療にも効果が期待できます。
論文のご紹介
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英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
背景
大うつ病性障害(MDD)は、気分や生活の質に悪影響を及ぼす世界的な疾患である。
抗うつ薬や心理療法が最も一般的に処方されている治療法だが、先行研究ではそれらの臨床的有効性が疑問視されている。
これらの治療は、患者が併存疾患を持っていると診断されている場合には効果が低くなる可能性がある。
方法
併存疾患があると診断されたMDDに代替治療法である経頭蓋磁気刺激(TMS)が有効かどうかを調べるために、文献のシステマティックレビューを実施した。
110件の論文が同定され、そのうち8件が今回のレビューに含まれた。
結果
反応率と寛解率は変化する。
39.5~70%の参加者が抗うつ薬の治療効果を経験し、16.6~76.9%の患者がMDDからの寛解を達成した。
48.6~84.6%の患者が併存疾患の治療に反応し、50~84.6%の患者が併存疾患の寛解を達成した。
限界
今回のレビューの限界として、サンプルサイズが小さいこと、統計的なパワーが限られていること、サンプルが均質であること、偽治療またはプラセボ対照研究がないことが挙げられる。
結論
予備的な結果は、TMSがMDDと併存疾患の症状の治療に有効であることを裏付けている。
これらの結果を確認するためには、さらなる研究が必要である。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年2月13日
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