大うつ病性障害における左利きと反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の反応性
こちらの論文は、
のページに引用しています。
左利きでも治療法の変更は不要
こちらの論文は、左利きの患者さんでのrTMSの効果の違いを調べた論文になります。
脳には言語中枢があるほうを優位半球と呼び、右利きの方は大部分が左といわれています。
一方で左利きの方は、右側にある方も1/3ほどいるといわれています。
このため、左利きの場合は左右を変更したほうが良いかなど、わかっていませんでした。
左利きと右利きでの従来の治療を比較した場合、左利きの方が治療成績がよい結果となりました。
このことから、
論文のご紹介
英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
目的
大うつ病性障害(MDD)患者に対する反復経頭蓋磁気刺激治療(rTMS)の有効性は、刺激の左右差に関連して異なることが、多くの研究により示されている。
しかし、左利きの被験者が右利きの被験者と同じように反応するかどうかを調べた系統的な研究はない。
方法
6つの臨床試験(n=310)のデータをプールし、左利きのMDD患者がrTMSに同様の反応を示すかどうか、高頻度の左側と低頻度の右側の両方の治療形態にどのように反応するのかも含めて検討した。
結果
全体として、左利きのMDD患者は、右利きの患者よりもrTMS療法に大きく反応した。
サブグループ解析では、特に左利き群の人数が少ないため、この効果は左側の高頻度治療で見られたが、右側の低頻度治療では見られなかった。
左利き患者におけるより大きな反応という全体的な効果は、他の臨床的または試験的変数に起因するものではなかった。
結論
標準的なrTMS治療は、左利きのMDD患者に有効であると思われ、これらの患者において治療適用の左右差を変更する正当な理由はないようである。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2022年3月5日
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