当院の強迫性障害TMS治療成績(2020年12月~2021年12月末)
治療成績
- 病名:強迫性障害
- 期間:2020年12月~2021年12月末
- 症例数:18名
30%改善:50% 20%改善:60%
当院が開院した2020年12月から、2021年12月末までの全症例のうち、強迫性障害として急性期治療終了となった患者様の治療成績をご紹介します。
こちらでは、23名の方が治療を開始して、最終的に30回治療を行うことのできた18名での統計となっています。
結果としては、
- 30%以上改善:50%
- 20%以上改善:61%
となりました。
こちらは、YBOCSという強迫症状の心理検査をもとに点数の改善割合を基準としています。
治療成績の考察
強迫性障害でのTMS治療成績につきましては、FDAで認可された治験に近しい結果となりました。
強迫性障害でのTMS治療については、
- 薬物療法との併用が基本
- 暴露刺激の設定が重要
と感じており、治療データとして整理して治療反応因子を分析しています。(井川先生中心に論文準備にはいっています。)
症例数が少ない中ですが、薬物療法と併用している方の方が治療成績はよい印象があります。
また暴露療法をしっかりと行えることも大切です。曝露刺激を階層化して、個々人にあわせて相談しながら、現場で工夫をして行っています。
ただでさえ難治な強迫性障害ですので、TMS治療と薬物療法、心理療法を併用していくことが、治療成績を高めるために重要です。
2022年4月より新たな臨床心理士が入職しますので、治療体系化をすすめて、さらなる治療成績向上につとめていきます。
強迫性障害のTMS治療は、非常に金銭的なご負担も大きくなります。
治療に反応されなかった方を対象にしては、無料でSMA低頻度刺激を5回追加で行っています。
このプロトコールは、アメリカで認可されたプロトコールではないものの、最新の論文(メタアナリシス)では、治療効果のエビデンスが最も高いものになっています。
過去の治療成績
治療成績を可視化して治療向上へ
東京横浜TMSクリニックでは、治療の前後で精度の高い心理検査を実施することで、治療成績を数字にして評価しています。
当院では、強迫症状に対するTMS治療実施にあたっては、Y-BOCSといった薬の治験などでも実施する心理検査を行います。
こちらは専門家が評価する心理検査になり、自記式の心理検査よりも精度が高く、適切な治療判断につながります。
当院ではこのように治療成績を可視化することで、さらなる治療向上を目指しています。
またスタッフが症例サマリーを作成することで、多職種で治療の検証を行っています。
安心してTMS治療を受けていただくために、これからも客観的なデータを発信していきたいと考えています。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2022年2月24日
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