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責任の重さがプレッシャーに?「出世うつ・昇進うつ」の原因と治療法

会社で出世する、昇進する。努力が認められた結果の役職や立場の変更は、一見すると純粋に喜ばしいことに感じます。

ただ、出世や昇進をした結果、心身に不調をきたす方も珍しくありません。

環境の変化で起きる会社員の心身の不調は、世間では「出世うつ」「昇進うつ」とも呼ばれています。

今回は、出世うつと昇進うつの原因、また治療法についても、詳しく解説します。

そもそも「出世うつ」「昇進うつ」とは?

出世うつや昇進うつをイラストで表しました。

出世うつ・昇進うつとは、名前の通り、です。

ご注意いただきたいのは、医療の世界において「出世うつ」「昇進うつ」と診断名が付くことはありません。

うつ病とは、エネルギーが低下してしまう気分の病気になりますが、出世や昇進といった原因がきっかけとなりうつ状態となってしまうことがあります。

そのような時に、世間で「出世うつ」や「昇進うつ」といわれたりします。

近年では、うつ病も多様な形をとるようになっていますが、原因から分けて治療や対処法を考えていくことは意味があります

出生や昇進をされているということは、組織の中で評価されていた方が多いでしょうし、そういった方のうつ状態には共通点もあります。

医学用語ではありませんが、出世うつ・昇進うつという原因からみて、うつ病としての治療を考えていきましょう。

出世うつ・昇進うつの症状

出世うつ・昇進うつの症状をイラストにしました。

出世うつ・昇進うつの症状は、うつ病の症状と同様になります。

うつ病の症状には個人差がありますが、身体症状ですと、

  • 睡眠の異常(不眠・過眠)
  • 食事の異常(食欲不振・過食)
  • 過度な倦怠感・疲労感
  • 頭痛
  • めまい
  • 吐き気
  • 下痢や便秘

などが認められます。

精神症状としては、

  • 気分の落ち込み
  • 体が動けない
  • 集中力の低下
  • 悲観的に考えることが増える
  • 不安や焦燥感
  • 興味がわかない

このような症状が認められます。

これらの症状が1~2週間以上続いていれば、精神科や心療内科の受診を検討することをおすすめします。

まずは病気と気づくことが大切

出世や昇進がきっかけで生じるうつ状態においては、具体的には以下の状態になる方も珍しくありません。

「自分に当てはまる……」と思ったら、ひとりで抱え込まずに、周りに相談できる人がいないか確認してみましょう。

  • 明日の仕事を考えると、夜なかなか眠れない
  • 強いプレッシャーを感じて、気持ちが落ち込む
  • 自分に出世や昇進をする価値はないと、自己否定の気持ちが止まらない
  • 会社で表情をうまく作れずに、常に無表情になってしまう
  • 覚えていたはずの部下の名前が、とっさに出てこなくなった
  • 部下に不信感を持たれているのではないかと、疑心暗鬼になってしまう

心身の不調は、早期治療が回復への近道です。

「頼れる相手がいない」「身近な人に不調を知られたくない」といった方は、医療機関への受診も視野に入れてください。

「自分がうつ病になるはずがない」と決めつけると、気づかない内に状態が悪化する可能性もあります。

うつ病は「心の風邪」と表現されることもあります。

風邪と比較するものではないかもしれませんが、無理をすればこじれて、適切な治療すれば回復する点は、風邪もうつ病も同じといえます。

うつ病は、病気のひとつです。「根性がない」「やる気がない」などの言葉で片付けられるものではありませんし、まずは病気と気づくことが大切です。

出世うつ・昇進うつの原因

出世うつ・昇進うつの原因をイラストにしました。

出世や昇進は、自分が過ごしてきた環境に変化をもたらします。

  • 管理される側から、管理する側に回る
  • 管理職になり、部下の人数が大幅に増加する
  • 会社から求められる能力が変わり、新しいスキルを得る必要がある

そういった環境の変化によって、心身の調子を崩す方が多い印象です。

また、理想と現実のギャップに苦しむ方もいます。

役職が付いたことで、周囲からも、そして自分からも「期待」が膨らむ。けれど、現実は自分の理想通りには進まない。そのギャップに、自分自身が追い込まれてしまうのです。

イメージが掴みやすいように、環境の変化によってどのようなストレスが生まれるのか、以下に例をまとめます。

自分に当てはまるところがないか、ぜひチェックしてみましょう。

  • 出世や昇進により責任が重くなり、プレッシャーに苦しむ
  • 業務内容が変わり、慣れない仕事にイライラしてしまう
  • 管理職になったものの、部下と関係性が構築できず、人間関係の悩みが尽きない
  • 自分の能力では出世や昇進に見合わないと感じて、自分を否定してしまう
  • 周りからのお祝いの言葉がプレッシャーに感じて、気持ちが疲れてしまう
  • 「役職が付いたのだから、仕事量が増えて当然だ」と自分を追い込んでしまう
  • 役職が付いた結果、誰にも弱音を吐けず、悩みを抱え込んでしまう

時期によって出世うつ・昇進うつは増加する?

日本では、一般的に4月が年度初めです。

年度初めは人事の変更が集中する時期でもあり、環境の変化に戸惑う人も多い印象です。

この時期によく聞く「五月病」も、環境の変化により心身に影響が出ている状態とも言えるでしょう。

春から初夏にかけては、新しい環境に馴染むために、気持ちが張り詰めている人も多いはずです。

「最近調子が悪いな」と感じるなら、自分が過ごしている環境に変化はなかったか、さらにはその変化に戸惑っていないかを考えてみると、原因が見えてくるかもしれません。

適応障害?うつ病?

うつ病と適応障害の違いについて、質問を受けることが多いです。

この違いは、

  • うつ病:エネルギーの病的な低下
  • 適応障害:環境への不適応から心身への支障が大きい

といった点にあります。うつ病は「症状の程度」から判断するのに対して、適応障害は「不調になった原因」から診断しています。

適応障害であっても、ストレスが蓄積してエネルギーが病的に低下してしまって、うつ病となることがあります。

その際は、うつ病として診断することが一般的ですが、「適応障害 うつ状態」と診断されることもあります。

出世されている方は評価されている方が多いため、ストレス耐性は比較的に高い方が多いです。

そのような方が不調にいたるには、相当のストレスがかかっていることも多く、ご本人が思っているよりも状態が悪いことも少なくありません。

予防するためには?

「出世」「昇進」は、一般的には喜ばしい出来事であり、周囲から「おめでとう!」「すごい」「がんばってくださいね」と声をかけられることもあるでしょう。

出世・昇進が、自信に繋がる方もいるかもしれません。

ただ、変化は、例え「いい変化」でもストレスになり得ます。

自分にとってプラスになると感じる変化であっても、慣れない環境に適応するためには、少なからずエネルギーを使うからです。

「出世、昇進は喜ばしいことだから……」と無理せずに、自分の心身の不調を無視しないことがなにより大切です。

マインドセットを整えることから

ストレスを緩和するためには、マインドセットを整えることも重要です。

マインドセットとは、わかりやすくざっくりいうと、心構えです。

もう少し詳しくいうならば、その人が持っている思考様式・心理状態のことです。

つまり、どんな風に物事を捉えて、どんな考え方をするのか?とも言えますね。

出世や昇進によって会社から求められる役割が変わり、仕事内容もガラリと変化したとします。その際に、「初めての仕事を任された。すぐに完璧を目指さずに、新人時代を思い出して、ひとつずつこなしていこう」と、マインドセットを新しく整えてみてください。

ここで「役職が付いたのだから、弱音を吐いている場合ではない」となってしまうと、困りごとをひとりで抱え込んでしまいがちです。

「新しい仕事をすぐに完璧にはできない。少しずつ慣れていこう」とマインドセットを整えて、新人時代に先輩や上司に相談していたように、悩みがあれば周囲に相談する。この流れを作ることが、昇進うつ・出世うつの予防には大切です。

意識すると効果がでやすいこと

その他、職場で意識することで変わる可能性があることをご紹介します。

  • 会社以外で、愚痴や悩みを吐き出せる場所を作る
  • すべてを自分でやろうとせずに、部下にも仕事を任せる
  • 部下のすべてを管理しようとせずに、ときには頼り、相談する
  • 周りの期待以上のことをしようとせずに、目の前の仕事に淡々と向き合う

これまでの経験があるがゆえに、一人で抱えてしまうったり、自分や周囲に期待しすぎてしまうことも少なくありません。

出世うつ・昇進うつの治療法

出世うつ・昇進うつの治療法をイラストにしました。

環境の変化によって心身の状態が悪化し、うつ状態、もしくはうつ病を発症した場合は、医療機関で適切な治療を行う必要があります。

ここからは、うつ病の治療法について詳しく解説します。

お薬を用いた治療「薬物治療」

うつ病の治療は、基本的には休息と薬物治療が軸となります。

医療機関で主に用いられているのは、「抗うつ薬」と呼ばれるお薬です。

抗うつ薬は多くの種類があり、その中から自分に合うお薬を探していきます。

お薬の副作用には個人差がありますが、特にお薬の飲み始めには、以下の副作用が出てくる可能性があります。

  • 日中の眠気
  • 吐き気・嘔吐
  • めまい・だるさ
  • 頭痛
  • 口の渇き
  • 便秘・下痢

副作用が強い方には、抗うつ薬と一緒に副作用止めを処方する場合もあります。

お薬は、医師が指定した量とタイミングで、正しく服薬することが大切です。

自己判断で服薬を中止したり、お薬の量を減らすと、症状が悪化する可能性もありますので注意しましょう。

対話で解決方法を探る「精神療法」

精神療法では、医師や臨床心理士と対話を重ねながら、問題の原因と解決方法を探っていきます。

「認知行動療法」「対人関係療法」などは、明確にエビデンスがある治療法と評価されています。

精神療法は、薬物治療やTMS治療などで症状を安定させたうえで、安定した状態を保つ、さらには再発防止などを目的に行われることが多いです。

調子が悪いときには柔軟に考えることも難しいため、ある程度回復してから行っていくほうが効果的です。

通常の医師の診察の中でも精神療法的なアプローチを意識してはいきますが、どうしても時間に限りがあります。

ですからじっくりと精神療法(心理療法)を行うことが重要な場合は、臨床心理士によるカウンセリング(保険適応外)などで行っていくことが一般的です。

新しい磁気による「TMS治療法」

TMS治療とは、特殊な機器を用いて、磁気を利用することで脳の一部分を電気刺激する治療法です。

副作用が少なく、ほとんどの方は治療中に頭皮に多少の痛みを感じる程度です。

お薬の副作用が強く、薬物治療を続けられない方にも適した治療法と言えるでしょう。

脳に電気刺激を与える「電気けいれん療法」と比較されることがありますが、患者さまの症状や状況によるので、どちらの治療法が優れているとは言えません。

ただ、電気けいれん療法は健忘などの副作用や麻酔を使っていくこともあり、最後の手段という位置づけになっています。

このため副作用が少なく、日常生活の中で治療ができるTMS治療を選ぶことが多いです。

保険適用が認められているTMS治療ですが、適用条件が厳しく、多くの方は自由診療となります。

ときには休職も検討しましょう

うつ病の治療法では、基本的には休息と薬物治療が軸となると先述しました。

ただ「仕事をしながら休む」のは、簡単ではありません。

うつ病は、2日~3日休みをもらったとして、「そこでスッキリと完治する!」というものではないのです。

心身の状態をさらに悪化させないために、ときには休職も視野に入れてください。

仕事からいったん離れて、心身の回復と向き合う時間を持つことで、状態がグッと安定する患者さまもいるのです。

そもそも「休職」とは?

休職とは、働くことが難しい労働者に対して、雇用契約を維持しながら業務を免除する制度です。

労働基準法で定められている制度ではないため、「休職制度は使えるか?」「休職期間はどれくらいか?」などは、ご自身が勤める会社の就業規則を確認する必要があります。

休職中に使える頼れる制度

会社によって異なりますが、休職中は業務を免除されているため、多くの場合は給与の支払いはありません。

以下の条件を満たせば「傷病手当金(しょうびょうてあてきん)」を受け取れる可能性があり、6割程度の収入が保証されることが多いです。

自分が条件に当てはまるかぜひ確認してみましょう。

  • 業務外の事由による病気やケガの療養のため、仕事を休んでいる
  • 仕事に就くことができない状態である
  • 連続する3日間を含んで、4日以上仕事を休んでいる
  • 仕事を休んでいる期間中、給与の支払いがない
  • 過去に同一の理由で傷病手当金を申請していない

傷病手当金とは、働くことができない時期に、被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度です。給与額の6割程度が、健康保険組合から支給されます。

しっかりとお休みを取っていただくために、休職される方がよく不安に思われることを以下の記事でまとめています。

うつ病での休職が不安な方へ

休職に関して相談できる場所は?

休職については、まずは主治医に確認してみましょう。

「甘え」と感じてしまって、なかなか切り出せないかもしれません。

これまでもストレスを乗り越えられてきただろう方からのSOSは、精神科医もしっかりと受け止めてくれることが多いです。

「自分は傷病手当金の条件に当てはまる?」「休職の手続きをどう進めればいい?」など、細かなことは自分ですべて調べようとせずに、身の回りの人に相談する、もしくは相談窓口に問い合わせしてみてもよいかもしれません。

会社であれば人事総務などの窓口ですが、直接は確認しづらいかもしれません。

精神保健福祉センターや保健所、役所の福祉窓口で休職相談を受け付けている場合もあります。

傷病手当金のことであれば、加入されている健保組合にご相談されてもよいでしょう。

自分で電話することが難しいと感じる場合は、家族や信頼できる人に対応をお願いしてみましょう。

スムーズな受診が、早期回復のカギ

昇進のタイミングでうつ状態やうつ病になる方の多くは、がんばり屋さんで、責任感が強く、困りごとをひとりで抱え込みがちです。

「昇進したのに休んでいる暇はない」と、自分に無理を強いる方も珍しくありません。

ただ、何年も社会人をしている方が「いつもと違うつらさ」を感じているときは、そのつらさを病気と考えて、なるべく早く医療機関を受診していただきたいです。

社会人になりたての若者が感じている仕事のストレスと、社会人経験が豊富な30代~50代の方が「つらい」と苦しむほどのストレスは、種類がまったく異なります。

前者は、環境に馴染めないことで引き起こされる適応障害の場合が多く、ストレスの原因から離れることで状態が安定する可能性も高いです。

後者は、ストレスの蓄積で脳の機能が落ちている状態である可能性が高まります。仮にストレスの原因から離れたとしても、適切な治療をしなければ、自然に回復することが難しい場合も多いのです。

ですから仕事に影響が出ていたり、苦しみが強ければ、早めに医療機関にご相談ください。

「出世うつ」「昇進うつ」のまとめ

今回は「出世うつ」「昇進うつ」とはなにか?について、詳しく解説しました。

以下に、この記事のポイントをまとめます。

  • 「出世うつ」「昇進うつ」は、出世や昇進による環境の変化がきっかけ生じるうつ状態のこと
  • 医学用語ではないので「出世うつ」「昇進うつ」と診断名は付かない
  • 「初めての仕事だから、新人だと思ってやろう」とマインドセットを整えて、悩みがある際は周囲に相談することが、心身の安定に繋がる
  • 心身の状態が思わしくない場合は、休職も検討する。条件を満たせば、傷病手当金を受け取れる可能性がある
  • うつ病の治療法は、休息と薬物治療が軸となる
  • お薬の副作用が心配な場合は、TMS治療も選択肢のひとつ

心身の不調は、無理せずに早めに治療を行うことで、早期回復に繋がります。自分の心身の状態に対して少しでも「おかしいな?」と感じたら、速やかに医療機関に相談しましょう。

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執筆者紹介

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大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医

カテゴリー:ブログ  投稿日:2021年7月3日

   

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