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TMS治療のターゲットと治療効果

様々な病気の治療に研究がなされているrTMS療法。そのターゲットは、どのようにして決められているのでしょうか。

rTMS療法は、磁気を介して脳内をピンポイントに刺激して調節する治療法になります。

TMS治療の効果のメカニズムを説明するにあたって、「〇〇の機能があることを刺激して活性化する」といったシンプルな説明が理解しやすいですが、実はそんなに単純ではありません

脳のそれぞれの部分の機能はありますが、それぞれがネットワークを形成して複雑な機能を作り上げていることが分かってきています。

最新のTMS治療研究は、脳のネットワークを意識して効果的なターゲットを探索する段階にあります。

これまでの歴史を踏まえつつ、TMS治療のターゲットの考え方をご説明していきます。

脳のそれぞれの場所ごとに機能がある

大脳にはそれぞれ場所ごとに特有の機能があるという考え方を、脳の機能局在といいます。

TMS治療の効果を説明する際には、わかりやすさも重視して脳の機能局在をもとにした説明が多くなっています。

例えばうつ病のターゲットである背外側前頭前野(DLPFC)は、認知機能を司る部位という形での説明です。

しかしながら脳の機能は単純ではなく、もちろん機能局在もありますが、様々な場所と神経線維が連絡していて、ネットワークを形成しています。

ですからシンプルに、うつ病なら〇〇の機能低下が認められるので、△△の血流低下が認められるといったものがありません。

このため診断は医師による問診に頼ることになり、光トポグラフィーなども診断の参考程度にしかならないのです。

TMS治療のターゲットでの機能

TMS治療はピンポイントで脳を刺激することで、機能を調整して効果を期待していきます。

TMS治療のターゲットとなる部分の機能局在についてまとめてみます。

  • 外側前頭前皮質:適切な課題遂行に必要な情報を選んで行動制御
    →適切な認知を促すところ(認知や情動に関係)
  • 内側前頭前皮質:自分と他人の情報認識、自己モニタリングと心の理論、道徳、過去を学習して刺 
    激と報酬を予期(不確実な状況での意思決定)
    →想像力を働かせて行動を選択するところ(報酬系に関係)
  • 眼窩前頭皮質:情動と動機づけ、報酬に基づく意思決定
    →価値が高い選択肢を判断するところ
  • 前帯状皮質:行動モニタリングと調節、社会的認知、情動痛覚
    →とりうる競合を評価するところ
  • 島皮質:意識的な欲望(渇望)と感覚からの情動
    →視床から入力された身体状態を、情動や高次認知に処理するところ
  • 補足運動野:自発的な意図による運動制御、順序動作の実行、両手の共同運動
    →運動を企画しているところ

脳はネットワークを作っている

脳の領域ごとの機能はありますが、それだけでは複雑な脳の働きをカバーすることはできません。

さまざまな脳の領域がネットワークを作り、高次で複雑な脳機能を発揮すると考えられています。

実際に神経線維は複雑に連絡していて、DLPFCやACCなどは「ハブ」のようなもので、脳の深い構造とも複雑に関係しています。

うつ病のターゲットである背外側前頭前野(DLPFC)を刺激することで、実行機能やワーキングメモリーといった認知機能といった直接的な効果だけでなく、扁桃体など辺縁系に影響し、情動に関係する部分にも働きます。

強迫性障害のターゲットである背内側前頭前野(DMPFC)を刺激すると、線条体など報酬系に関係する部分に働きます。

このようにTMS刺激を加えると、直接的な効果に加えて、ネットワークを介した脳の深い構造への効果にもつながると考えられます。

神経シナプスレベルでは、治療効果には神経可塑性が関係していると考えられています。

神経同士の結びつきが柔軟になり、本来の脳機能を回復していくと考えられています。

うつ症状による効果の違い

うつ病の患者さんには、DLPFCに対するrTMS療法が行われることが一般的です。

その治療効果は個人差がありますが、多くの場合がまず不安や焦燥、不眠が改善され、精神運動抑制は遅れて改善認められます。

このことは、まずはネットワークを介して情動が安定し、DLPFCの直接的な認知機能の改善は少し時間がかかることを意味しているかもしれません。

TMS治療のメカニズム

最新のTMS治療の探究

こういった脳のネットワークについて知見が集まっていく中で、ネットワークを意識して精密にナビゲートして刺激部位を特定していく研究が進められています。

具体的にうつ病では、前帯状皮質膝下部(sACC:subgenual anterior cingulate cortex)と背外側前頭前野(DLPFC)の接続のしやすさ(コネクティビティ)が高いポイントをfMRIと複雑な演算で同定して、治療を行っています。

負の相関が強いところをとっていて、DLPFCの機能があがるとsACCの機能が低下するためです。

うつ病では大脳辺縁系の機能が亢進してしまい、不安や焦燥感などが認められている状態です。

本来はDLPFCが抑えてコントロールしているのですが、その機能が弱まっているので、情動のブレーキがかけられなくなっている状態です。

ですからうつ病患者さんでは、DLPFC↓してsACC↑となっています。

そのコネクティビティが最も強いところを同定して、ピンポイントでTMS治療を行っていきます。

DLPFCは、おそらく皆さんがイメージするよりも広い領域になります。

欧米でもfMRIを使う方法は臨床応用はできておらず、あくまで研究目的で行われています。

驚異的な治療効果が認められたスタンフォード式では、、1回3倍量のiTBSを1日10回、5日連続での治療でECTを超える治療効果が認められています。

当院ではBEAM F3法を用いており、従来の5㎝法に比べてナビゲーションに近いターゲットを同定できます。

TMS治療の展望

このようにTMS治療は、脳のネットワークを意識して効果的な治療法を模索している段階になっています。

しかしながらfMRIは大学病院などでしかとれず、また適切なターゲットの特定には演算に多大な時間もかかってしまいます。

ナビゲーションが簡易に同定できるようになれば、テーラーメードなrTMS療法が実現していくと思います。

またうつ病といっても、脳の機能の状態は個人差が大きいと思われます。

辺縁系が亢進している人もいれば、そこまでではない人もいるでしょう。

むしろ報酬系の問題が背景に強いかたもいれば、左右による効果のあらわれ方の違いもあるでしょう。

脳のfMRIをとることでうつ病のネットワークのタイプがわかり、それによってTMS治療のターゲットを選択し、最もターゲットとするネットワークに影響しやすい部位をピンポイントで特定し、治療する時代がくるかもしれません。

TMS治療をご検討の方へ

TMS治療の効果の強みと、向いている患者様をまとめた図表になります。

日本では2019年に認可された治療法ですが、欧米では2008年より臨床に取り入れられています。

TMS治療のターゲットについては、患者さんにはシンプルな説明を心がけますが、実は単純ではありません。

どのように効果を発揮されているのかも意識しながら、私たちのクリニックでは効果判断をしています。

最新の研究動向なども踏まえて、今後のTMS治療の展望についてもお伝えしました。

可能性が大きく、さらなる効果も期待できるTMS治療ですが、現時点でも薬物療法に劣らない治療成績が認められています。

TMS治療をご検討の方は、どうぞ気軽にご相談下さい。

執筆者紹介

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大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医

カテゴリー:ブログ  投稿日:2022年1月16日

   

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