【適応障害⑦】20代男性

プロフィール

  • 治療期間:【急性期】X年/8月~X年/11月の72日間
  • 主訴:日中の過度の眠気、気分の落ち込み、自信がない
  • TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
  • TMS治療プロトコール:倍量TBS(1,200発/回)とaTBSの組み合わせ計30回

これまでの経過

元々人前は苦手ではなかったそうですが、1対1だと緊張してしまう、落ち込みや不安が多いため、他院心療内科を受診されました。

その語、薬物療法は避けたいという理由で、当院を受診されました。

社交不安がベースにありますが、明確なストレス因からの適応障害となり、ストレスの蓄積からうつ状態を呈していました。

TMS治療経過

適応障害⑦の心理検査の結果をご紹介します

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査

抑うつ状態を改善するため、倍量iTBS(1,200発/回)とaTBSの組み合わせを計30回を行いました。

TMS10回終了時は、「副作用も頭痛もない。気分は若干よくなってきた。下がった時に元に戻りやすくなった。仕事も続けている。」と気分の落ち込みが減ってきている様子でした。

TMS20回終了時には、「調子は悪くない、よくなったと思う。より気持ちの切り替えができるようになり、落ち込んでいる時間が減った。仕事もやれている」と、10回目終了時よりも気持ちの切り替えができるようになり、不安の軽減もされていました。

TMS30回終了時は、「調子がよく、仕事も順調」と発言があり、治療ブースに入出される際にとても明るい表情でした。

30回目以降は維持療法やブースター治療についてご案内し、終診となりました。

症例のまとめ

薬物療法を避けたいということでTMS治療を受診されましたが、副作用も一切なく順調に治療を行うことができました。

残り10回目頃には少し治療間隔が空いてしまった時もありましたが、合計30回を無事終えられました。

TMS10回目から効果が得られ、20回目、30回目には不安や落ち込みがほとんどなくなり、早期で治療効果を得られた症例です。

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年12月25日

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