【うつ病㉕】51歳男性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年/11月~X年/4月の142日間
- 主訴:動悸、浅呼吸、睡眠障害
- TMS治療の目的:うつ症状、不安発作の改善
- TMS治療プロトコール:1日2回週3~5回のaTBS
これまでの経過
他院でうつ症状、パニック障害と診断され、ご紹介で当院受診。
ワイパックス(抗不安薬)の使用を控えるように産業医より指示され、その際にTMS治療の存在を知ったとの事でした。
rTMS療法はパニック障害について効果が限定的なことをご説明した上で、ご本人の強い希望があったため、効果がなければ薬物療法へ切り替えるという方針で治療開始となりました。
TMS治療経過
※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
うつ状態の改善を目指す目的で、iTBSを1日2回でのaTBSを30回施行しました。
10回目頃より動悸の回数の減少を自覚し、20回目頃にはメインテート(βブロッカー)の使用頻度も抑えられてきたとのことでした。/p>
30回目終了時点では、「口で言い合わらずのが難しい感じですね。治ったかと聞かれると効いている感じはします。何年もかかると言われていますが、前みたいに頻繁に内科医にいくことはなくなりました」とのことでした。
治療効果の維持とさらなる改善のために、週に1回のペースで左高頻度(iTBS)を継続しています。
症例のまとめ
うつ症状の軽減とともに、パニック症状も軽減を認めた症例になります。
お仕事で運転業務をされていて、薬を使うことができなくなりTMS治療を希望されました。
二次性のうつ症状をTMS治療によって改善することで、不安症状の軽減も期待できることが経験できた症例でした。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年9月2日
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