【うつ病 ㉗】30代男性
プロフィール
- 治療期間:【急性期】X年/3月~X年/4月の42日間
- 主訴:抑うつ状態、めまい、頭が働かない
- TMS治療の目的:抑うつ状態の改善、減薬
- TMS治療プロトコール:倍量iTBS30回 (1日2回週3~5回のaTBS)
これまでの経過
9年前に心療内科を初めて受診。しばらくは安定していましたが、1か月前から調子を崩しました。
抑うつ状態が消長しているため、抑うつ状態の改善、減薬目的に来院されました。
他院に通院されており、サインバルタ(抗うつ薬)、ソラナックス(抗不安薬)、ベルソムラ(睡眠薬)を服用しています。
TMS治療経過

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査
抑うつ状態で他院通院中のため、うつ病の改善を目指すiTBSを1日2回のaTBSで30回行いました。
10回終了時には、「いい気がする。ぼーっとする感じが減って、頭がすっきりする感じがある。」との発言がみられました。
20回目終了時には、「少しずつ良くなっていると思う。たまに眠れない日があるが、眠剤も減らせている。イライラは強くなっていない。」と改善傾向を示しました。
30回目終了時には「調子悪くない。寝つきはいまいちだけど睡眠も深くなり、ベルソムラも中止できた。」と、症状の改善や減薬ができました。
治療後のフォローとしては、通院中の心療内科で様子を見てもらいつつ、少しずつ減薬を進めていく方針となりました。
症状悪化時にTMSを集中的に行って再発予防を行うブースターTMSをご案内し、主治医にフォローいただく形となりました。
症例のまとめ
TMS治療と薬物療法を併用して行うことで、消長していた抑うつ状態が改善され、睡眠薬の減薬も行えました。
抗うつ剤を併用しながらTMS治療を行っていくことは、再発予防の効果を高めることが分かっています。
薬物療法かTMS治療をどちらもうまく取り入れることで、治療成績が向上することを経験できた症例になります。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年9月2日
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