【うつ病㊴】30代男性

プロフィール

  • 治療期間:【急性期】X年/7月~X年/9月の70日間
  • 主訴:仕事に行くのが憂鬱、仕事が遅くなった
  • TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
  • TMS治療プロトコール:aTBS(1200×2回)30回

これまでの経過

18歳で心療内科を受診し、その後もいくつかの精神科・心療内科を受診されていました。

会議で受け答えができないことを理由に職場で受診を促され、他院を受診してうつ病と診断されました。

発達障害の検査も行いましたが、特に有意な所見は指摘されませんでした。

TMS治療経過

うつ病症例39の心理検査の結果をご紹介します

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査

抑うつ状態の改善を目的に、aTBSのプロトコールを30回行いました。

10回目終了時は、「気分も上がってきた」「スッキリ感が出ている」と効果を実感されていました。

「イライラすることもあるが、それは自分のことを客観視できているのだと思う。マイナスになることはない」など、自身の状態を冷静に分析できるようになりました。

20回目では、「調子は悪くないし落ち込みもない」「変わらずスッキリ感もある」「ぼーっとしている感じはまだあるがイライラはない」と良い状態を維持している様子でした。

30回目には、転職活動を開始するなど治療開始時と比較して明らかに改善しました。

3治療後は意欲も出てきたため維持療法に移行せず、1クールで終了となりました。

症例のまとめ

比較的早期に改善兆候があった症例でした。

本来であれば1クールは週3回以上のペースで実施することを推奨としていますが、効果の現れ方によってはご本人のペースに合わせて治療を行うことも選択肢の一つになりうることを学べた症例になります。

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年10月12日

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