dTMSとは?

脳の深部を刺激することができる治療プロトコル

TMS治療機器のイメージ画像

dTMSとは、Deep Transcranial Magnetic Stimulation(深部磁気刺激法)の略で、磁気刺激を脳の内部に送り込むという意味ではrTMSと共通しているものの、dTMSの場合にはrTMSよりもさらに脳の深い位置を刺激します。

コイルの形も8の字型ではなく、特殊な形状のものを使用し、刺激方法なども異なります。

強迫性障害でアメリカFDAで認可された治療法で、当院が日本で初めて導入しております。

dTMSは、興奮と抑制の両方が可能なTMS治療になります。

dTMS治療の特徴

rTNS・iTBS・cTBSのプロトコールを図解しました。

dTMSは、脳の深部を刺激することが可能な治療法で、脳の奥の方の機能異常が原因となる強迫症状や依存症などで効果が期待できる治療法になります。

通常よりエネルギーが必要となり、痛みも多少強まります。

また治療方法も特殊となり、専門性が必要となります。

強迫性障害では、2秒間に刺激を40回(20Hz)行い、各刺激間の間隔(休憩)は20秒で、合計2000回の刺激を行います。

刺激方法自体は従来の方法と同じになりますが、使っているコイルとプロトコールが異なります。

治療時間は、おおよそ18分20秒になります。

他の治療法との違い

違いのイメージ画像

アメリカにおいては、dTMSはすでにうつ、強迫性障害、禁煙などへの適応が認められています。

うつの治療に関しては、rTMSとdTMSはどちらも効果的ですが、dTMSは磁気刺激の強さがrTMSよりも高く、また時間もかかってしまうためメリットが少ないです。

当院においては、dTMSは強迫性障害などへの治療として導入しています。

dTMSの症例と論文

dTMSは、強迫性障害で用いられるプロトコールになります。

実際の症例や論文につきましては、以下を参照ください。

dTMSの症例

dTMSの論文

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年3月11日

関連記事

脳卒中による運動麻痺とTMS治療

脳卒中の後遺症である運動麻痺にTMS治療は、「効果がある可能性がある」と考えられています。 脳卒中の運動麻痺といっても様々ですが、とくに上肢麻痺(手)に対してエビデンスレベルAとなっています。 その他にも下肢麻痺など運動… 続きを読む 脳卒中による運動麻痺とTMS治療

投稿日:

脳卒中とTMS治療

脳卒中の後遺症にTMS治療は、「効果がある可能性がある」と考えられています。 その後遺症の内容によって異なりますが、上肢(手)麻痺に対してエビデンスレベルAとなっています。 その他にも失語症や下肢麻痺などにも治療が試みら… 続きを読む 脳卒中とTMS治療

投稿日:

愛知・名古屋のTMS治療クリニック・病院を紹介

うつ病といえばお薬による治療や心理療法などがイメージされるかと思いますが、最近では磁気によるrTMS療法が少しずつ広がっています。

投稿日:

人気記事

子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説

「長い子育てを終えて、やっとひとりの時間ができる」 「子育て中はできなかったことを、たくさん楽しもう!」 そんな風に、子育てを終えた解放感を味わう方もいるでしょう。ですがその反面、強い喪失感や虚無感に苦しむ方も存在します… 続きを読む 子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説

投稿日:

「燃え尽き症候群(バーンアウト)」とは?なりやすい人や治療法を解説

「燃え尽き症候群(もえつきしょうこうぐん)」とは、その名の通り、それまでの意欲や熱意がまるで燃え尽きたように消失してしまう状態のことです。 もともとは意欲があった人が、突然やる気を失う。いきなりの変化に「あんなに熱意があ… 続きを読む 「燃え尽き症候群(バーンアウト)」とは?なりやすい人や治療法を解説

投稿日:

精神疾患のお薬を服用しながら運転はできる?お薬に頼らない治療法も紹介

「車がないと会社に通勤できない」 「仕事で車を運転する必要がある」 「生活するうえで、車がないと困る」 日常生活の中で、車の運転が必須になっている方もいるでしょう。 それは、精神疾患の治療をしている患者さんも同じです。お… 続きを読む 精神疾患のお薬を服用しながら運転はできる?お薬に頼らない治療法も紹介

投稿日:

\ この記事をシェアする /

TWITTER FACEBOOK はてな POCKET LINE