非侵襲的脳神経刺激による倦怠感の治療

こちらの論文は、

のページに引用しています。

倦怠感の改善に対してTMS治療は不明

こちらの研究は、tDCSやrTMSといった非侵襲的脳刺激の倦怠感に対する効果を検討したものを網羅的に調査して評価したものになります。

rTMS治療に対しては6件しか該当がなく、線維筋痛症や慢性疲労症候群を対象とした研究となっていました。

これによれば、症例数も少なく、方法やベースラインの患者さんの条件、評価方法などが様々で、結論を導くのは困難となっています。

多発性硬化症や線維筋痛症についての効果は期待できるかもしれない一方で、慢性疲労症候群については効果が不明と思われます。

論文のご紹介

倦怠感や疲労感の改善とTMS治療のレビューをご紹介します。

英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。

アブストラクト

神経疾患や精神疾患の治療における非侵襲的脳神経刺激(NIBS)技術は、現在開発中である。

倦怠感は、NIBSによる治療の可能性がある病態の分野でよく見られる症状であるが、その治療に関するデータはほとんど発表されていない。

我々は、2017年2月末までの文献レビューを行い、倦怠感に対するNIBS技術の効果を臨床的に評価したことを報告したすべての研究を分析した。

分析対象は、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)と経頭蓋直流電流刺激(tDCS)に限定した。

この条件に該当する研究は、tDCS研究8件、rTMS研究7件の計15件しか見つからなかった。

tDCS研究のうち、6件は多発性硬化症の患者を対象としており、6件のrTMS研究は線維筋痛症や慢性疲労症候群を対象としていた。

残りの3つの研究では、ポリオ後遺症、パーキンソン病および筋萎縮性側索硬化症の患者を対象としていた。

対象とした皮質領域は、一次感覚運動皮質、背外側前頭前野、後部頭頂葉皮質の3つである。

いずれの場合も、tDCSプロトコルは、皮質ターゲットに陽極を置く双極性モンタージュに従って行われた。

一方、rTMSプロトコルは、高頻度の位相性刺激または低頻度の持続性刺激で構成されていた。

これまでに得られた結果は、適用された方法、患者の臨床的プロフィール、調査された変数(様々な倦怠感スコア)に関して、あまりにも数が少なく、部分的であり、結論を導くには不均一である。

しかし、特に多発性硬化症や線維筋痛症において得られた効果は、まさに治療の希望をもたらすものである。

【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(総合職)も随時募集しています。

医療法人社団こころみ採用サイト

また、当法人ではTMS診療の立ち上げ支援を行っており、参画医療機関には医療機器を協賛価格でご紹介が可能です。
ご興味ある医療者の見学を随時受け付けておりますので、気軽にお声かけください。

取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。

画像名の[sample]の部分に記事の名前を入れます

執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年5月1日

\ この記事をシェアする /

TWITTER FACEBOOK はてな POCKET LINE

関連記事

スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説

勝負が決まる場面で思うようなプレーができず、悔しい思いをしたアスリートの方もおられるのではないでしょうか。 競技中に手がふるえたり、動かなくなってしまったりして、いつも通りのプレーができなくなってしまうことがあります。 … 続きを読む スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説

投稿日:

【2024年2月最新】東京のTMS治療クリニック24院!見極めポイントを精神科医が詳しく解説

目次 東京でのTMS治療 東京で安心できるTMSクリニック5選 東京でTMS治療を受けられるその他の16医療機関 TMS治療クリニックの選び方 東京横浜TMSクリニックについて 感染対策について 東京でのTMS治療 うつ… 続きを読む 【2024年2月最新】東京のTMS治療クリニック24院!見極めポイントを精神科医が詳しく解説

投稿日:

コロナ後遺症に対し新規経頭蓋磁気刺激法(rTMS)による治療開発 ~多施設共同ランダム化プラセボ対象比較試験の開始~

臨床研究の概要 医療法人社団こころみ東京横浜TMSクリニックは、「コロナ後遺症に伴う不安抑うつ・認知機能障害に対する新規経頭蓋刺激療法(rTMS)による治療法開発に向けた多施設共同試験」を実施いたします。 新型コロナウイ… 続きを読む コロナ後遺症に対し新規経頭蓋磁気刺激法(rTMS)による治療開発 ~多施設共同ランダム化プラセボ対象比較試験の開始~

投稿日:

人気記事

子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説

「長い子育てを終えて、やっとひとりの時間ができる」 「子育て中はできなかったことを、たくさん楽しもう!」 そんな風に、子育てを終えた解放感を味わう方もいるでしょう。ですがその反面、強い喪失感や虚無感に苦しむ方も存在します… 続きを読む 子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説

投稿日:

冬の寒さがメンタルに影響?「冬季うつ」の原因と対策

「冬になると気分が落ち込む」「寒さでやる気が出ない」と、冬になるたびに変化するご自身の体調に戸惑っていませんか? 不調を感じているご本人や、ときには周囲からも「寒さが苦手なだけだろう」と思われがちな冬の不調。 実は、冬季… 続きを読む 冬の寒さがメンタルに影響?「冬季うつ」の原因と対策

投稿日:

精神疾患のお薬を服用しながら運転はできる?お薬に頼らない治療法も紹介

「車がないと会社に通勤できない」 「仕事で車を運転する必要がある」 「生活するうえで、車がないと困る」 日常生活の中で、車の運転が必須になっている方もいるでしょう。 それは、精神疾患の治療をしている患者さんも同じです。お… 続きを読む 精神疾患のお薬を服用しながら運転はできる?お薬に頼らない治療法も紹介

投稿日: