【双極性障害⑥】29歳女性

プロフィール

  • 治療期間:X年3月~X年6月の71日間
  • 主訴:イライラ、入眠困難、気分の浮き沈み
  • TMS治療の目的:抑うつ状態の改善
  • TMS治療プロトコール:右低頻度(1.800発/回) 30回

これまでの経過

3年前頃にうつ病と診断されています。

当院受診に関してはご自分の意志ではなく、「婚約者に言われてきた」「彼からみてイライラしやすい、眠れない」とのことでした。

躁病エピソードも過去にあり、約3年毎に波があるようです。

婚約者の方が薬を使わない治療をご希望のため、TMS治療を希望されました。

上記病状により、3年前頃より1年半程服薬治療をされましたが、その後1年半は薬の服用ありませんでした。

TMS治療経過

双極性障害6の心理検査の結果になります

※HAM-D・MADRSは医療スタッフが評価するうつ症状心理検査で、SDSは患者さん本人の自覚症状を評価するうつ症状心理検査

双極性障害のため、右低頻度治療(1.800発/回)を30回行いました。

TMS10回終了時は、気分の落ち着きが実感されるようになりました。

TMS20回終了時では、趣味が楽しめるほどに治療効果を実感されていました。

TMS30回終了時には、「気分も安定していて調子が良い」と、主訴の改善が認められました。

状態も安定しているため、気分変動が認められた際には薬物療法なども検討いただくこととなり、うつ状態が再燃した場合はTMS治療でのブースト治療を検討いただく形で経過を見ていくこととなりました。

症例のまとめ

治療中は毎回眠ることなく受けて頂き、しっかりと治療効果を得ることができました。

双極性障害に対しては、躁転リスクや治療効果の観点で、右低頻度刺激での治療が推奨されています。

治療によりうつ状態の改善が認められ、再発予防の観点での薬物療法も前向きにとらえてくださるようになった症例です。

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年9月2日

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