治療抵抗性うつ病での反復経頭蓋磁気刺激の有効性:これまでのエビデンス
こちらの論文は、治療抵抗性うつ病に対するTMS治療の有効性について解説したものなります。
電気けいれん療法、迷走神経刺激法、経頭蓋磁気刺激法(TMS)、経頭蓋直流刺激法などのニューロモジュレーションについて、これまでのエビデンスをもとに解説しています。
特にこちらのレビューでは、TMSとECTについてのこれまでの知見がよくまとまっています。
精神病症状を伴うようなうつ病の場合は、TMS治療よりもECTの方が効果が認められました。
その一方で、それ以外の治療抵抗性うつ病では、ECTとTMSは同等の効果が報告されています。そしてECTの方が、認知的副作用が大きいことが示されています。
論文のご紹介
英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
アブストラクト
うつ病は一般的な精神疾患であり、重大な罹患率、障害、介護負担をもたらす。
また、抗うつ薬や心理療法を十分に行ってもなお症状が改善しないうつ病患者も多く、これは治療抵抗性うつ病と呼ばれている。
電気けいれん療法、迷走神経刺激法、経頭蓋磁気刺激法(TMS)、経頭蓋直流刺激法などの神経調節法は、うつ病の補助的な治療法として有用な可能性があり、主に治療抵抗性の症例に推奨される。
治療抵抗性うつ病の管理における電気けいれん療法の有効性については確固たるエビデンスがあるが、その他の手法については十分な研究がなされていない。
TMSは、うつ病を含む様々な精神疾患において、ますます研究が進んでいる。
TMSは、大うつ病に使用することが米国食品医薬品局(FDA)によって承認されている。
過去20年以上にわたり、TMSはいくつかの研究デザインを用いて、うつ病患者のさまざまなグループを対象に研究されてきた。
本稿では、治療抵抗性うつ病に対する反復性TMSの有効性について、最新のエビデンスを交えて概説する。
カテゴリー:こころみ医学 投稿日:2021年11月5日
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