高齢者における経頭蓋磁気刺激(TMS)

こちらの論文は、

のページに引用しています。

高齢者の認知機能に有用な可能性あり

こちらの論文は、高齢者に対するTMS治療についてをテーマに、総論的にレビューした論文になります。

TMS治療は忍容性が高く副作用が少ないので、高齢者に対する治療としては有用と考えられています。

とくに認知機能という観点では、副作用としての心配がないばかりでなく、治療として役立つ可能性もあることが分かってきています。

こちらの論文では、若い人と高齢者の違いも記述されており、ざっくりとお伝えすると若い人よりは効果が乏しく、遅いという結果となっています。

脳の萎縮などが認められている場合もあり、構造上もTMS治療がしっかりと実施できない可能性もあります。

このため、強度を十分に高めて実施したり、広範囲に届くプローブを使用したりといった工夫で、高齢者のTMS治療も成績の向上が見込まれるかもしれません。

論文のご紹介

高齢者のTMS治療についてのレビューになります。

英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。

レビューの目的

この論文の目的は、老年精神医学において重要な意味を持つ経頭蓋磁気刺激(TMS)のアプリケーションを選択してレビューすることである。

最近の知見

高齢者を対象とした多くのTMS研究は、研究規模が小さく、パラメータのばらつきがあるため、一般化には限界がある。

また、老年期の患者には、TMSの有効性を弱めるような独特の特徴がある。

そのような背景があるにも関わらず、FDAが承認した大うつ病への適応に加えて、いくつかの有望な適応拡大先候補が浮上している。

認知機能障害、神経因性疼痛、禁煙は、高齢者にとって特に重要な適応拡大先候補である。

認知機能障害は、高齢者において最も研究されており、これまでのところ、TMSが治療に役立つ可能性を示す証拠がある。

また、現役世代の神経因性疼痛や禁煙に対するTMSの有用性を示唆する証拠もある。

TMSは、安全で忍容性の高い治療法であり、認知的な副作用もないことが一貫して報告されている。

TMSは安全な治療法であり、高齢者においても特定の適応には有効である。

この結果を再現し、高齢者のための治療プロトコルを最適化するためには、特に高齢者を対象とした追加研究が必要である。

【お読みいただいた方へ】
医療法人社団こころみは、東京・神奈川でクリニックを運営しています。
「家族や友達を紹介できる医療」を大切にし、各クリニックでコンセプトをもち、社会課題の解決を意識した事業展開をしています。
医療職はもちろんのこと、法人運営スタッフ(総合職)も随時募集しています。

医療法人社団こころみ採用サイト

また、当法人ではTMS診療の立ち上げ支援を行っており、参画医療機関には医療機器を協賛価格でご紹介が可能です。
ご興味ある医療者の見学を随時受け付けておりますので、気軽にお声かけください。

取材や記事転載のご依頼は、最下部にあります問い合わせフォームよりお願いします。

画像名の[sample]の部分に記事の名前を入れます

執筆者紹介

大澤 亮太

医療法人社団こころみ理事長/株式会社こころみらい代表医師

日本精神神経学会

精神保健指定医/日本医師会認定産業医/日本医師会認定健康スポーツ医/認知症サポート医/コンサータ登録医/日本精神神経学会rTMS実施者講習会修了

カテゴリー:こころみ医学  投稿日:2021年9月22日

\ この記事をシェアする /

TWITTER FACEBOOK はてな POCKET LINE

関連記事

スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説

勝負が決まる場面で思うようなプレーができず、悔しい思いをしたアスリートの方もおられるのではないでしょうか。 競技中に手がふるえたり、動かなくなってしまったりして、いつも通りのプレーができなくなってしまうことがあります。 … 続きを読む スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説

投稿日:

【2024年8月最新】東京のTMS治療クリニック21院!見極めポイントを精神科医が詳しく解説

目次 東京TMSクリニック® 東京でのTMS治療 東京で安心できるTMSクリニック5選 東京でTMS治療を受けられるその他の16医療機関 TMS治療クリニックの選び方 東京横浜TMSクリニックについて 感染対策について … 続きを読む 【2024年8月最新】東京のTMS治療クリニック21院!見極めポイントを精神科医が詳しく解説

投稿日:

コロナ後遺症に対し新規経頭蓋磁気刺激法(rTMS)による治療開発 ~多施設共同ランダム化プラセボ対象比較試験の開始~

臨床研究の概要 医療法人社団こころみ東京横浜TMSクリニックは、「コロナ後遺症に伴う不安抑うつ・認知機能障害に対する新規経頭蓋刺激療法(rTMS)による治療法開発に向けた多施設共同試験」を実施いたします。 新型コロナウイ… 続きを読む コロナ後遺症に対し新規経頭蓋磁気刺激法(rTMS)による治療開発 ~多施設共同ランダム化プラセボ対象比較試験の開始~

投稿日:

人気記事

子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説

「長い子育てを終えて、やっとひとりの時間ができる」 「子育て中はできなかったことを、たくさん楽しもう!」 そんな風に、子育てを終えた解放感を味わう方もいるでしょう。ですがその反面、強い喪失感や虚無感に苦しむ方も存在します… 続きを読む 子育てひと段落で喪失感?「空の巣症候群」になりやすい人と治療法を解説

投稿日:

スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説

勝負が決まる場面で思うようなプレーができず、悔しい思いをしたアスリートの方もおられるのではないでしょうか。 競技中に手がふるえたり、動かなくなってしまったりして、いつも通りのプレーができなくなってしまうことがあります。 … 続きを読む スポーツ選手を悩ますイップスの症状とは?薬に頼らない治療法についても解説

投稿日:

精神疾患のお薬を服用しながら運転はできる?お薬に頼らない治療法も紹介

「車がないと会社に通勤できない」 「仕事で車を運転する必要がある」 「生活するうえで、車がないと困る」 日常生活の中で、車の運転が必須になっている方もいるでしょう。 それは、精神疾患の治療をしている患者さんも同じです。お… 続きを読む 精神疾患のお薬を服用しながら運転はできる?お薬に頼らない治療法も紹介

投稿日: