MCIとアルツハイマー型認知症でのrTMSの認知増強効果についてのシステマティックレビューとメタアナリシス
こちらの論文は、
のページに引用しています。
TMSは認知機能改善効果が期待できる
こちらの論文は、アルツハイマー型認知症と軽度認知機能障害に対するTMS治療の認知機能への効果を調べたシステマティックレビューになります。
基準に該当する論文を一定期間網羅的に調べて、13研究293人の患者さんが該当しました。
認知機能へのTMS治療の効果を検証したところ、中~大の認知機能改善効果が認められました。
左DLPFC高頻度および右DLPFC低頻度rTMSが記憶力を有意に改善し、右下前頭回rTMSが遂行能力の改善がみられました。
またその効果は4~12週間持続しており、TMS治療が病的な認知機能低下が認められた方に対して、改善効果が期待できるかもしれません。
論文のご紹介
英語原文は、こちら(Pub Med)をご覧ください。以下、日本語に翻訳して引用させていただきます。
アブストラクト
非侵襲的な脳刺激法である反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)は、軽度認知障害(MCI)およびアルツハイマー病(AD)に対する有望な治療法として注目されている。
しかし現在のところ、これまでの試験では統計的検出力が低く、また不均一性があるため、この治療法の有効性は不明である。
今回のメタアナリシスの目的は、MCIおよびAD患者のさまざまな認知領域に対するrTMSパラメータのさまざまな組み合わせの有効性を系統的に特徴づけることであった。
この分析には、MCIまたはAD患者293人からなる13の研究が含まれた。
ランダム効果解析の結果、認知機能の改善において、実刺激rTMSは偽刺激rTMSよりも全体的に中程度から大きな効果サイズ(0.77)を示した。
サブグループ解析の結果、
(1)左背外側前頭前皮質を対象とした高頻度rTMSおよび右背外側前頭前皮質を対象とした低頻度rTMSは、記憶機能を有意に改善すること;
(2)右下前頭回を対象とした高頻度rTMSは、遂行能力を有意に改善すること;
(3)5~30回の連続したrTMSセッションの効果は4~12週間持続することが明らかになった。
認知機能に対するrTMS効果の潜在的なメカニズムについて考察した。
カテゴリー:ブログ 投稿日:2021年7月29日